スズキ エブリイ(DA64W)のご入庫
冷房の効きが甘く他店でガス調整しても改善しなかった、その店ではエアコンコンプレッサー交換が必要で高額修理になると言われたので当店で診てほしいとのこと。
修理のいきさつをお聞きしておそらくエアコンガス量については正常なのではないかと思われますが、他店で行っていることですので再度ガス圧力など確認しながら診断を進めることにします。
エアコン作動時の冷媒ガス圧力をモニターしましたが、異常な圧力ではないと感じました。
他店でのコンプレッサー交換が必要という診断に少し疑問を感じます。
エアーコンディショナーとは冷暖房を組み合わせて快適な温度・湿度を提供するシステムになります。
冷房は冷媒ガスを圧縮・解放することで空気を冷やしその際除湿も行う回路になります。
暖房はエンジンの冷却水の温水から熱をもらって温風にする回路です。
上記の別々の熱源を混ぜ合わせることで希望の温度を作りだします。
ちなみにこちらの車はオートエアコン車両になります。
では熱源同士を混ぜ合わせる部分はどこでしょう?
それは室内にあるエアコンユニット内で風の通り道を切り替えることで行います。
一般的にエアミックスと呼ばれる部分でこの車両の場合オートエアコンですのでエアミックスもアクチュエーターで行います。
エアミックス故障事例 リンク
エアミックスアクチュエーターは運転席足元にありますので覗いて動きを見てみます。
なにか変です。
何が変だというと黒い部分がアクチュエーター本体なのですが、一緒になって動いてしまっていることが変なのです。
本来はアクチュエーター内部にはモーターが入っていてモータが動くことでユニット内部のエアミックスフラップを動かすのですが、フラップを動かす反力で本体まで動いてしまっているようです。
よく見るとアクチュエーターを固定するボルト2本のうち1本が無くなっています。
アクチュエーターを取り外して固定し直すことで直せるか見ていきます。
ボルトを付けて固定すると御覧のようにユニットは動かず奥のフラップリンク(白い部品)のみが動くようになりました。
エアミックスフラップがしっかり切り替わることで暖房・冷房ともにしっかり効くようになりました。
マニュアルエアコンでは操作レバーに繋がったワイヤーでこのフラップを人が動かしますが、オートエアコンでは電気的にコントロールするためアクチュエーターが絡む不具合は多いものです。
今回の修理はアクチュエーター本体の固定不良解消だけでしたので大きな修理になりませんでしたが、エアコンシステムは冷える部分を作り出す冷媒システム・熱源であるエンジン冷却水を引き込むヒーターシステムさらにそれを混ぜてコントロールするエアコンシステムなど複雑に入り組んでいるので症状の把握をしたうえで点検など故障探求をしっかり行わないといけません。