FIAT ムルティプラ(186)
突然クラッチペダルの節度がおかしくなってギアが噛みこまなくなったとのこと。
こちらの車両、以前クラッチホースの故障で油圧がかからなくなりクラッチ操作が出来なくなった経緯がある車両です。故障事例リンク
また油圧回路に何か起きたのかと思われますがとにかくロードサービスで搬送するように手配しました。
到着してクラッチペダルを操作すると油圧はかかっている感じでペダルに多少の節度はあることは確認できました、以前の故障の際は油圧が抜けてしまっていたためペダルに何の重みもない状態でした。
今回はクラッチは切れないためシフトレバーを操作するとギア鳴りを起こしてしまいます、レリーズシリンダーは正常に動くことから油圧回路は正常ですのでクラッチ本体に何かが起きていると判断しました。
トランスミッションを外してその答えがわかりました。
レリーズベアリングのフォークとの当たり部分が折損してしまっているためベアリングの破損が原因です。
クラッチカバーにも破損した部品との接触痕が痛々しく残っています。
フライホイールのディスク当たり面も荒れています。こちらは平面研磨で対処します。
新しいクラッチセットで組みなおします。
レリーズベアリングの金属的な疲労による破損が今回の原因でした。
クラッチのトラブルは、クラッチディスクの摩耗限界で動力伝達部が滑るというのがオーソドックスですが、このように油圧にしろ機械的にしろ操作側が限界を迎えることも多々あります。