トヨタ ピクシスエポック(LA300)のご入庫
ダイハツ ミライースのOEM車両です。
水温ランプが赤く点灯してエアコンの吹き出し口から煙が出ているとの事。
エアコンの吹き出し口から煙?よくわかりませんので、”水蒸気のようなものではないですか?”と尋ねましたが慌てている様子でよくわからないとの返答。
兎に角、水温ランプが赤く点灯してオーバーヒートしているようなので走行はせず、ロードレスキューで搬送するようにしました。
搬送されて点検するとラジエーターの中には冷却水は有りませんので、やはりオーバーヒートしたのは間違いありません。
しかし、エンジンルームに冷却水が漏れたような形跡がありませんので、冷却水を足してエンジンをかけます。
するとエアコンを掛けてしばらくすると吹き出し口から水蒸気が噴き出してくるではないですか!水蒸気は甘い冷却水の臭いがします。
室内側で冷却水が廻っているのはヒーターユニットしかありませんので、そこに何かしらの冷却水漏れの不具合が起きたものと思われます。
ヒーターユニット内部は簡単に見ることはできません、ヒータユニット脱着自体も大ごとですのでお客様にご説明の上作業を始めます。
何が大ごとなのかと言いますとこのような状態になるからです。
ダッシュパネルをすべて外さなければなりません。
ヒーターユニットを取り外し中を見ると冷却水がたっぷり溜まっています。
このユニットの中にはヒーターコアと呼ばれるラジエーターのようなものが入っていて温水である冷却水を流してそこに風を当てることで温風を作り出します。
今回はヒーターコアから冷却水が漏れたことで湯気が吹き出し口から噴き出したのです。
原因はヒーターコアとパイプとのつなぎ目からの漏れです。
非常に簡易的に造られていてパイプを加締めて留めているだけですので、オーリングが劣化して密着が甘くなって漏れたようです。
ここの部品は一体ですのでヒーターコアアッセンブリーでの交換になります。
ヒーターコアを交換したうえで冷却水を入れてオーバーヒートによるダメージが無いか点検をします。
実はオーバーヒートという症状は、漏れそのものよりもオーバーヒートでどれだけエンジンにダメージを与えたのかが重要になります。
エンジンにダメージを与えると最悪このような事態になります。
故障事例①リンク
故障事例②リンク
オーバーヒートでエンジンに歪みが発生するとエンジン内部で冷却水が漏れたりして、非常に修理費用が掛かる結末になります。
しかし、冷却水が漏れたままの状態ではエンジンへのダメージ判定は難しいためまずは冷却水漏れを止めてからの判断が必要になります。
漏れを治してみてエンジンにダメージが及んでいた場合大きな修理費用になりますのでお客様にはそのことをご理解の上で作業に着手しなければいけません。
今回は出先で水温ランプの赤が点灯してすぐにお電話を頂きロードサービスで搬送したので大事に至ることはありませんでした。
お客様にしてみるとメーターのランプは点くし、エアコンの吹き出し口から煙が出るわでパニックに陥ったようです。
ご自身でわからないような事態に陥った場合はまずは車両を停めて修理工場などにレスキューを求めてください。
突発的な故障はパニックになりますが落ち着いて対処するようにしてください。
その際に対処できるような修理工場や保険会社と普段から付き合うことも大切なことになります。