栃木県宇都宮市の整備工場
TEL 028-656-2588
月〜金 9:00 - 18:00 , 土・第2日曜 10:00 - 18:00

ご注意

ブログ内の整備・修理等各記事の作業内容や作業方法のご質問にはお答えできません。 また、作業料金についても車両を当社まで入庫いただき、実際に見させていただいてからのお見積りとなります。 概算の金額についても電話やメールではお答えできませんので、あらかじめご了承ください。

故障修理・整備 フィアット

FIAT500 オーバーヒートによる最悪な結末

FIAT500のご入庫

走行中エンジンが止まりそれから掛からなくなったとの事で搬送されてきました。

状況を伺うとどうやらオーバーヒートの症状もあった模様。

クランキングしてみますがまったく圧縮がない状態ですのでもしかしたらタイミングベルトが切れているのかと確認してみようとタイミングベルトカバーのボルトを緩めて外そうとしますがカバーが張り付いていて外れません。

何かカバーが接着されているようですので、誰かが密閉を良くしようなんて思って何か塗っているのかもしれません。

ようやく外してベルトを点検しますがどうやら切れていませんしタイミングもずれていません。

 

次にオーバーヒートの症状があったとの事でしたのでお決まりのサーモスタットを見るとやはり樹脂のパイプ部分がぽっきり折れています。

オーバーヒートを起こしたのはわかりました、エンジンが掛からないのは圧縮が無いからですのでオーバーヒートによるガスケット抜けが起きたのでしょう。

しかし何か変です。

ガスケットが抜けたにしては、あまりにも圧縮が無い回り方をしています。

これはもしかしてガスケット抜けどころではない大きな故障を起こしているのかもしれません。

頭を切り替え、もう一度よく調べると先ほどのタイミングベルトカバーは接着されていたのではなく高温のため樹脂製のカバーが溶けて張り付いていたのです。

さらによく見ると樹脂製のインテークマニホールドとエンジンヘッドの合わせ面も樹脂が溶けています!

これはオーバーヒートを起こしさらに高温にさらされた結果、金属が樹脂部品を溶かすほどの高温状態になったことを物語っています。

一般的なオーバーヒートではここまでのことは起きません。

エンジンに致命的なダメージを与えていると判断できますのでエンジン自体の交換が必要であることをお客様に伝え中古エンジンに乗せ換えることになりました。

 

トラブルを起こしたエンジンを分解していきます。

サーモスタットはご覧の通り

 

ブロック側はさらに悲惨な状況になっていました。

ピストントップは棚落ちしていますし4番ピストンは割れてピストンピンがずれています。

これではまったく圧縮が無くなるのは当然のことです。

シリンダーにはピストンの溶けたアルミがこびり付いています。

エンジン内部はオイルの焦げたにおいが充満していてかなり酷い焼き付きを起こしていました。

 

ここまでに至る経緯はこのような感じでしょう。

①走行中サーモスタットの樹脂パイプが割れて冷却水が大量に漏れてオーバーヒート
      ↓
②オーバーヒートに気が付かず走行を継続
      ↓
③冷却水が無い空焚きの状態で走行を続けた結果油温が急上昇
      ↓
④油温上昇によりオイル性能限界を超え油膜切れによりピストン破損
      ↓
⑤ピストン破損により圧縮が無くなりエンジンストール

ここまでに至ることは非常にまれなことです。

 

ここで疑問”なぜオーバーヒートに気が付かなかったのか?”ということです。

こちらの車両もちろん水温計はありますので水温が上昇すればメーターも上がりますしあまりに水温が高温になれば警告灯も点灯します。

しかし車両はなかなか教えてくれませんでした。

その原因はこちら

これはサーモスタットに装着されている水温センサーです。

水温センサーは冷却水に浸かり水温をセンシングしているのですが今回の様にパイプが割れて冷却水が一気に噴き出すとセンサーは冷却水に浸らない状態になりますので実際には水温をモニターすることが出来なくなります。

走行中ですと高温になった蒸気も走行風で流されてしまいますので水温センサーは事実上役に立ちません。

今回は夜間に幹線道路を走行していたので走行スピードもそこそこあるため運転者も冷却水がもれた蒸気にも気が付かなかったようです。

エンジンがストールしたことで警告灯及び警告音が発報して初めて気が付いたのです。

 

そもそものオーバーヒートの原因はサーモスタットの樹脂パイプの割れです。

ここが割れたことで一瞬で冷却水が噴き出ました。

以前からこのサーモスタットのトラブルは多かったのですが経年劣化も進み年々トラブルが増えています。
故障事例 リンク

当店ではトラブルを未然に防ぐ意味で対策済サーモスタットに交換を勧めています。

車両火災寸前のオーバーヒートによる最悪な結末でした。

 

 

 

栃木県宇都宮市の整備工場月〜金 9:00 - 18:00 , 土・第2日曜 10:00 - 18:00

MASUTAKAブログ最新情報

アルファロメオ ジュリエッタ 走行不能

アルファロメオ ジュリエッタ1.4 TCTの警告灯が点灯して走行できなくなったので診て欲しいとのご依頼、しかし動かない状態でしばらく放置してしまい今はエンジンも掛からないとの事。 ※TCT:アルファロメオのトランスミッションシステムの名称で、乾式DCTタイプのデュアルクラッチ自動変速システム 自動車保険のロードサービスを使用して搬送するように依頼いたしました。   入庫時はバッテリーが上がってしまいエンジンもかからない完全不動状態で搬送されてきました。 エンジンが掛かっていた時にTCT警告灯が付 ...

続きを見る

スズキ ハスラー(MR41S) CVTフルード交換

スズキ ハスラー(MR41S) CVTフルード交換のご依頼です。 CVTオイルパンを取り外して内部のストレーナも含めての交換がご希望です。 走行距離8万㎞台でかなり鉄粉が磁石に吸着しています、オイルパンを外して交換して正解です。 このトランスミッションには、これ以外にオイルフィルターも装着されているので忘れないようにしなければなりません。 真っ黒になったフィルターとフルードを見るとやはり交換の必要性を感じます。 しかしこの自動車メーカーではCVTフルードは無交換という案内をしているからなのでしょうか?フィ ...

続きを見る

灯火類の進化と憂鬱

自動車に使用される灯火類は周りに自車の存在を知らせたり、これからどのようなアクションをするかを知らせる非常に重要な役割をします。 昔から役割自体に大きな違いはありませんが発光体の種類が最近では大きく変化してきました。 従来はこのようなフィラメントを使用した電球を使用していました。 少し進化したものでフィラメントを使用しているもののハロゲンガスで光が強くなったものもあります。 どちらもフィラメントを使用しているという意味で熱エネルギーを光源とする種類になります。   しかし最近は熱エネルギーを光源 ...

続きを見る

アルファロメオ ジュリア ディーゼル PMセンサー故障

アルファロメオ ジュリア 2.2ディーゼル(952) エンジンチェックランプが点灯しているとの事で診断機で故障コードを読み出します。 P24D1 微粒子状物質センサー再生が終了しない このようなコードを検出しました。 微粒子状物質センサー(Particulate matter senser)とは一般的にPMセンサーと呼ばれるもので、排気ガス中の非常に細かな微粒子状物質をモニターするためのセンサーになります。 よく天気予報でPM2.5予報というものを聞きますが微粒子が2.5μm以下(μmは1/1000mm) ...

続きを見る

アウディ A7(4G) ACCエラー

アウディA7(4G) メーター内にACC関係のエラーが出ているとの事。 ACCとはアダプティブクルーズコントロールの略で様々な運転支援の総合名称でカメラを使用して前方車両との間隔を保ったクルーズコントロールや衝突回避などを行うシステムになります。 診断機にて故障コードを読み出すと U111300:エラー値受信による機能制限 上記故障コードを検出しました。 どうやらこのシステムではフロントカメラ内部の基盤故障でこのような故障コードを検出することが多いそうで、お客様自身も情報を把握しており物は試しで中古のカメ ...

続きを見る

MINI(F56)DCTフルード交換

MINI(F56) ミッションオイルに関するインフォメーションが出てディーラーに相談したら"交換しないと壊れる"と言われ怖くなり連絡が来ました。 確かにこのインフォメーションでは怖くなります。 この車両はDCTタイプのトランスミッションを採用しており、自動車メーカーでは定期的な交換を推奨するようになったようです。 当社ではこのフルードに対しての適合するオイルの中で一番リーズナブルなタイプを使用する分フラッシングすることをお勧めしました。 フルード交換自体はシンプルな作業で規定温度でオーバーフローさせて完了 ...

続きを見る

アルファロメオ ジュリア ヴェローチェ 車検整備

アルファロメオ ジュリア ヴェローチェのご入庫 車検整備のご依頼を受けました。 走行距離は3万㎞台ですのでそれほどメンテナンスの必要性はなさそうです。 エアクリーナー 写真ではきれいに見えますがかなり汚れています。 ブレーキは前輪のパッド残量はまだまだあるのですが後輪のパッド残量が少ないため交換です。 現代の車両は後輪ブレーキで車両姿勢などを細かく制御するため前輪よりも後輪のほうが減りが早い車両が増えてきました。   エアコンフィルター 1年もしくは長くても2年で交換です。 最後に光軸を測定・調 ...

続きを見る

年末年始休業日のお知らせ

年末年始は、28日(土曜日)から5日(日曜日)は休業させて頂きます。

続きを見る

ホンダ オデッセイ(RA7)コンプレッサー マグネットクラッチプーリー故障

ホンダ オデッセイ(RA7)のご入庫 エアコン(冷房)が効かないとの事 エアコンスイッチを入れてもコンプレッサーのマグネットクラッチが作動していません。 マグネットクラッチを作動させるにはエアコンガスが一定量以上入っていなかったり、リレーの不良など様々なことが考えられますがこちらの車両の場合しっかりマグネットクラッチに電気が来ているようなのでマグネットクラッチ故障による作動不良と判断いたしました。 コンプレッサーを取り外してマグネットクラッチをみてみるとダンパーゴムが完全に剥離して溶けていました。 htt ...

続きを見る

ランチア イプシロン(312)マニュアルミッションクラッチ交換

ランチア イプシロン(312)のご入庫 マニュアル車でクラッチペダルが重くなってきたためクラッチオーバーホールを提案して作業することになりました。   取り外したクラッチディスクは御覧のように溝が消えかかるほど摩耗していました。 滑ってしまうほどの摩耗ではありませんでしたが、これくらいの減り具合でもクラッチペダルの操作力はかなり重くなります。 ディスク以外でもクラッチカバーのベアリング当たり面もかなり摩耗していますし、ベアリングもゴロゴロしていますのでこちらも寿命をむかえていたと判断できます。 ...

続きを見る

-故障修理・整備, フィアット

© 2025 増高自動車工業有限会社