トヨタ ヴォクシィ(AZR60)のご入庫
オーバーヒートを起こし近くのディーラーに緊急で入庫したが、エンジン乗せ換えが必要との事でお見積りが40万円以上との事、困り果ててセカンドオピニオンとして当店にご相談に来られました。
お話を聞かせて頂き、冷却水漏れのオーバーヒートであることは間違いないようなのですが、現時点でエンジンが本当にダメになっているかは当店ではまだ判断が付かないことをご説明しました。
オーバーヒートは冷却が上手く出来なくなったことで金属が歪み内部の気密が保てなくなった場合、ダメージが深刻だと大きな修理か交換が必要となります。
オーバーヒートによる交換事例 リンク
しかし、本当にエンジンに深刻なダメージが及んでいるかは冷却水を充てんして、正常な冷却系統にしたうえでエンジンの熱負荷を掛けなければ判断することはできません。
お客様には冷却水漏れ箇所を改善したうえでエンジンのダメージを検査して判断しなければならないことをご説明しました。
当然、最悪はエンジン交換やオーバーホールに至る可能性も残っていることも含めてお話ししました。
説明の上、了解を得て故障探求を始めます。
まずは、冷却水の漏れ箇所はEGRクーラーのメクラ蓋が外れてダダ漏れなのはすぐにわかりました。
EGRクーラーは排気ガスの一部を吸気に戻して燃焼温度を下げる仕組みなのですが排気ガスは高温ですのでここに冷却水を流して温度を下げる役目をしています。
ここの冷却通路のメクラ蓋が吹き飛んでしまっていました。
新しいEGRクーラーを取りつけて冷却水のエア抜きを行いエンジンのダメージ検査を進めていきます。
結果としてはエンジンを交換する必要はありませんでした。
当店でもテスト走行を繰り返して問題はありませんでしたが、ダメージがあとから出るかもしれませんのでしばらく注意して乗ってもらうようにご説明してお返しししました。
修理の際は、故障探求を行い原因究明やダメージ範囲の判定、のちに起こる可能性のある後遺症など様々なことを考えなければなりません。
しかし、それの判断は簡単なことではなく時間が掛かったり故障診断のために部分的に修理を進めなければいけないこともあります。
私たち整備士は当然一度で修理が完了することを目指しているのですが、今回のように 部分的な修理を進めなければ先に進めないこともあります。
お客様には、できる限り分かりやすくご説明したうえで判断していただくようにするのですが、一度で治らないとか追加が増えるなどでトラブルになってしまうこともあるため初めから大きなお見積りを出してしまう(今回のエンジン交換の様に)お店も多いのが実情です。
エンジン交換してしまえば修理後のリスクはかなり回避できるし場合によっては車両を代替してくれるのでは?という思惑もあったのでしょう。
当店では、今回のように段階を踏んで修理を進めていくことが比較的多いのですが、結果としてやはり大きな修理が必要だったということもありますし逆に最小限で済んだという場合もあります。
しかし、面倒でもこればかりは行ってみなければ誰もその結果はわかりません。
お客様も修理を進めるにあたって説明内容をよく聞いて、しっかり納得してからご依頼して頂くことがとても大切なことになります。