トヨタ カローラランクス(ZZE123)

他店で整備をしてもらっていたが直した部分が部品だけではなく車両側のコンピューターか何か(お客様の言葉ですので不鮮明)がおかしいかもしれないのでそろそろ車の限界かもしれないと言われ困り果ててご来店なさいました。
どのような経緯があったのかわかりませんので問診もかねて聞いていきます。
①エンジンがブルブルして修理工場に入場
②ミスファイヤーの診断でスパークプラグとイグニッションコイルを交換したらしい。
③交換してしばらくして同様の不具合が再発したため再度入場
④3番シリンダーのミスファイヤのため再度3番シリンダーのイグニッションコイルとスパークプラグを新品に交換
⑤工場側の説明では部品クレームで交換したが交換した部品に不具合は無いようなので車両側のコンピューターなどに不具合があるかもしれないとの説明を受けた
大きな不具合があるかもしれないのでそろそろ車両の限界時期なのではという説明だったそうです。
上記が経緯のようです。
走行距離20万㎞を超えているためこのような説明があったのではないかとお客様もおっしゃっていたのですがしっかりした原因がわからず車両側に何か問題があるとの説明で怖くて遠乗りが出来なくなって当社に相談しに来たということでした。
確かに走行距離はかなり伸びているのですが車両を見せていただく限りとても手入れをされている状態ですのでとても大事にされているのはすぐにわかりました。
2回目の部品交換してから怖くてほとんど乗っていないということから不具合が解消されているかもよくわからないとの事ですので当社では基本的な点検を先入観なく見させていただくことにしました。
まずスパークプラグですが確かに新しいものに交換はされているのですが3番シリンダーのスパークプラグは適合自体はあっているのですが銘柄が違うスパークプラグが装着されていました。
クレームで交換した際初めに交換した銘柄が手に入らなかったのか違うものが取りついていますがスパークプラグはやはり同銘柄を同時に交換するなどしなければいけないものですのでこのプラグに関しては当社で新しいものに4本同時交換させていただくことにしました。
イグニッションコイルに関しては新しいもののようですので1番シリンダーからの順番を入れ替えて組み替えて様子を見ることにします。
装着順番を入れ替えることで仮に次回不具合が発生した際でも失火したシリンダーの位置が変わるのか変わらないかでコイルの不具合なのか他に要因があるのかの故障探求の切り分けが出来るからです。
このようにして他店で失火に関する故障修理に関するもののリセットを行ったうえで走行テストを行うとまた別の不具合を見つけることになりました。
アイドリング回転数が信号待ちで1000回転を超えるようなファーストアイドルになることに気が付きました。
工場でエンジンを掛けていた際は700回転付近で問題なかったのですが真冬のロードテストを行うと先ほどのファーストアイドル状態になりました。
これは冷却水がオーバークール状態になることで暖機し終わって暖まっていた冷却水が冷めてしまい緩暖機状態にもどることで暖機促進でファーストアイドルになってしまっていたのです。
原因としては冷却水温度のコントロールを行うサーモスタットの開閉不良ですので交換が必要です。

次にサーモスタットの取付位置を確認するとウォーターポンプがすぐ隣にいますがこちらも冷却水が漏れた形跡があることを発見しました。

ユーザーに上記内容を説明してウォーターポンプとサーモスタットの交換を行うことにしました。
交換後は漏れは当然収まりましたし冬場の走行を繰り返しても水温は安定しているためアイドリングも規定値にしっかり収まるようになりました。
オーバークールはオーバーヒートのようにエンジンを即座に破損させるような大きな故障は起きることはないのですが緩暖機状態に戻されるので空燃比なども濃い状態になったりするので地味に不具合を起こすものと言えます。
当店で修理整備したのち走行テストも繰り返して問題ないためユーザーにお返ししましたが、その後も特に失火なども起きずに走ることが出来ているそうです。
もしかしたらオーバークールによる空燃比の不安定さによりスパークプラグに一時的なかぶりなどが起きて失火したのかもしれませんが症状を再現できていませんので憶測にとどめます。
兎に角、ユーザーとしては不安を抱かせられたまま原因もわからないまま返されたことと、そこの店舗では走行テストなどしていないようなので今回のような別の故障発見も難しかったということを御自身でもよく分かったとのことです。
今まで走行距離は伸びていたものの大きな不具合が起きなかったので車検を通せるというだけの修理工場ではないところに任せていたとの事。
車検制度自体は車両点検のきっかけを与えるのでいい部分もあるのですが、”車検に受かる受からないのレベルの検査を受けた”と”これから安心して乗れるためのメンテナンスや修理を含めた車検整備の上での検査を受けた”というものが自動車業界に混在しているため線引きが難しく、”車検に受かっているから大丈夫”という勘違いを誘発させます。
今回の件で”車検が通せる=直せる”ではないということがお客様は理解したようです。
それと修理方法はお客様自身の車に対する考え方(思いなどの価値観)などによって変わることもわかっていただいたようです。