ダイハツ ムーブのご入庫
ご用命は冷却水が下に漏れているとの事。
入庫時確かに冷却水がポタポタ垂れているのが確認できました。
比較的エンジンの前側からの漏れでしたのでウォーターポンプ関係からの漏れかと思いましたがタイミングベルトを1年ほど前に替えておりその時にウォーターポンプも交換しているそうであまり考えずらいと思いました。
そこで再度よく調べてみるとインテークマニホールドとエンジンヘッドとのつなぎ目から漏れていることがわかりました。
ダイハツのEF型エンジンでここからの漏れは比較的有名な故障です。
インテークマニホールドを取り外します。
3気筒エンジンで吸気ポートが3つありますがそれ以外に左側にもう一つ穴があります。
パッキンがふやけたようになっていてシールの機能は失われていました。
これはエンジンヘッドのウォーターラインでパッキンを付けてインマニでメクラをしています。
ここの部分からの冷却水漏れでした。
まずはパッキンのシールが悪くなったのでパッキンを交換する必要があるのですが、ここで注意点があります。
インマニは樹脂でできておりエンジンとの接合面がしっかり平面を保っていないとまた密閉が保てず漏れ出してしまうということです。
今回、ストレートエッジで取付面を測るとわずかに歪んでいるのがわかりましたのでインマニ自体の交換が必要なことをお客様にお知らせして交換することになりました。
新品と比べると冷却水のメクラ部分のパッキンの形状が変更されています、これは何らかの対策を行った結果です。
これで一件落着と行きたいところですがせっかく新しくしたインマニとパッキンをダメにしてしまう要素がまだ残っています。
それはエンジンオイルの漏れです。
インマニの漏れたところをよく見るとエンジンオイルが付着しているのです。
確かに設計の不備があって部品の変更があったのかもしれませんがパッキンのふやけ具合からしてオイルとの接触が原因ともいえるのです。
オイル漏れ箇所はエンジンヘッドカバーからです。
パッキンはゴムですが、すでに劣化による硬化で柔軟性は失われている状態でした。
ゴムパッキンの硬化原因はもちろん経年的なものもありますが、オイルメンテナンス不良が引き金になることが多々あります。
この車両もオイルメンテナンスの不備がくっきりと残っていました。
本来、鉄やアルミの金属でできているエンジンはこのような茶色ではありません。
この茶色はスラッジと呼ばれるオイルの汚れがこびり付いたものです。
底にはヘドロのようになったスラッジが沈殿しています。
このように汚れたオイルを使い続けたエンジンは。汚れだけでなくガソリンも希釈していますのでゴムを侵しオイル漏れを起こします。
今回の故障修理のように、冷却水漏れという症状は実は他の要因が引き金になって起こっているということも多々あります。
単にそこを直すだけではまた同様の不具合を引き起こしてしまいます。
修理はあくまでも対症療法ですのでしっかり原因も見極めたり、メンテナンスを行う重要性を知っていただければ多くの不具合を予防できることになります。