ニッサン フーガ(Y50)の入庫
”エンジンを掛けようとスタートスイッチを押してもうんともすんとも言わない”との事
状況を詳しく聞くと、メーターには"ステアリングロックが引っ掛かっているのでステアリングを左右に振るよう"に表示されているがステアリングロックは掛かっていないとの事。
この状況は、最近のお車に起こる嫌な故障の予感がしますが、とりあえずレッカー搬送をして持ってきてもらうことになりました。
確かに、メーターにはこのような表示が出ています。
しかし、ステアリングロックは掛かっていません。
スタートスイッチを押してもアクセアサリー(ACC)にもなりません。
このような故障は、プッシュスタート車で起こることが多いステアリングロックユニットの不具合です。
この部品は、従来のキーシリンダーをキーで回していた時は手動でステアリングロックを掛けていたのですがプッシュスタートの場合シリンダーが無く手動ではできませんので電気でステアリングシャフトにロックを掛けるためのユニットが必要になります。
参考写真:VW POLOキーシリンダー
今回は、ロックが掛かっていない状態なのに解除できていないと車両が判断してしまったためプッシュスタートボタンを押しても反応しなかったわけです。
ステアリングロックユニットを交換します。
フーガの場合、ロックユニット内部にもコンピュータが内蔵されていて車両の個体識別とリンクしなければなりませんので診断機を使用して識別コードを書き込みます。
※ステアリングロックユニットは盗難防止装置ですのでイモビライザーともリンクして厳重に管理されます。
ロックユニットを交換後診断機で識別を書き込みエンジンは正常に掛かるようになりました
プッシュスタート車で必ず搭載されている電気式ステアリングロックユニットなのですが、故障も当然起きます。
そこで問題になる点が何点かあります。
①故障した際、エンジンが掛からなかったりステアリングロックが解除できなくなり車両の移動が困難になる。
②車両によっては部品代が非常に高額になることが多い。
上記のようなことは、非常に問題で部品は必ずいつは壊れるのですがその壊れたときにどのように対処が出来るかというのは重要なことです。
たとえエンジンが掛から無くなってもブレーキとステアリングが解除できれば何とか移動は可能なものです。
しかし、ステアリングを回すことが出来ないような状態では移動は難しく恐ろしい目にあいます。
次に、②の部品代ですが今回のフーガの場合でも新品価格は9万円を超えます。同様の輸入車での故障事例も大事(おおごと)になっています。故障事例リンク
ロックユニットといっても内部にコンピューターを搭載していますので高額なのは当然ですがなかなか現実的ではありません。修理代の大きさもまた恐怖です。
今回の故障では、中古品を使用して書き込みましたのでかなり修理金額を抑えることが出来ましたが輸入車の場合は書き直しすらできないので新品を使いざるを得ません。
現代では当たり前になってきているプッシュスタートにはこのような恐怖が潜んでいることはあまり知られていません。