トヨタ ソアラ(UZZ40)のご入庫
ご用命は、”エンジンチェックランプが点灯した”とのこと
まず診断機で何を故障コードとして検出したのか読み出します。
P1351 VVTセンサ2(レンジ外れ)
P1354 VVT2制御
VVTとは可変バルブタイミング機構というもので、カムシャフトの位相を変える(進角させる)ことで吸気のバルブタイミングを変えて低速から高速まで適切にコントロールするシステムです。
このエンジンはV型エンジンですので左右それぞれのバンクのインテークカムシャフトに取り付けられています。(最近のエンジンはエキゾーストカムにもついているものもあります。)
ライブデータで動作を確認しますが、左右バンクでVVT変位角がバラバラになっていて明らかにおかしいです。
次にアクティブテスト機能を使いVVTを強制的に動かしてみます。
故障を拾っているバンクとそうでないバンクで動きがかなり違います。
正常作動
異常作動
変位角がOFFにした後すぐに戻らなければいけないものが、異常作動では中々戻らないのがわかると思います。
目標進角値に5秒以内に達しないとチェックランプを点灯するようになっているので、この進角の戻りの悪さが点灯の原因になっているのは間違いなさそうです。
では、VVT自体はどの様な部品を使い進角コントロールしているのでしょう。
ほとんどのメーカーで同じような形状をしているオイルコントロールバルブ(OCV)と呼ばれる部品でオイルの流れをコントロールしてVVTユニットに油圧を掛けて適切な進角を行うようになっています。
中のスプールをソレノイドで動かすことで油路を切り替えます。
OCVを単体点検します。
抵抗値は正常値で問題ありません。
単体で電圧を掛けて動きを点検しましたがとりあえずスプールは開閉して動いていますがなんとなく動きが悪い気がします。
そこで、先ほどのアクティブテスト機能を使い車両の入力信号を利用してOCVを作動させて見ます。
動画
確かにOCVのスプールは動いています。しかしこれは正常な作動ではありません。
動画
こちらが正常に作動しているものです。
スプールの動きは見えないと思いますが”ブーン”と音がしていると思います。
実はOCVはデューティー制御と呼ばれるON/OFFの高速バルブ開閉作動をしているため、あまりに高速での開閉で目では見えないのです。
ON/OFFのデューティー比を変化させることでバルブの開度を調整しているわけです。
先ほどのOCVが動きが悪くデューティー制御での開閉ができなくなったことが原因で今回のトラブルを起こしたことが確定しました。
VVTに関するトラブルは以前も何件か書かせていただきましたが、機構が複雑になればなるほどさまざまな故障の仕方が発生します。
今回のように単体点検だけではわからない故障もあるので、診断機の機能や車両の実測値をモニターしたりするなど さまざまな道具を駆使して故障探求を行なわなければなりません。