アルファ147TSセレスピードのお客様
”時々ギアがニュートラルになったり、ギアが入らなくなってしまう時がある”とのこと。
入庫日を決めてご来店いただく予定だったのですが、その前にとうとうギアが全く入らなくなってしまったとのことで緊急で入院いたしました。
問診を進めて行くと、こちらのお車走行3万kmと大変少ないにもかかわらず、今年に入ってセレスピードのトラブルが連続して他店で整備を繰り返していたとの事。
いままでの整備内容を伺うと
- セレスピードアクチュエータASSY
- セレスピードコンピューターユニット
- セレスピードリレー
ほとんどの部品を交換していますが、納車後しばらくすると同じような症状が現れてしまうとのことで困り果て当店にご来店いただきました。
セレスピードはトラブルが多い悪名高いユニットなのですがシステム自体はとてもシンプルなものです。
前回までの整備歴を見るとセレスピードシステムのほとんどの部品を交換しています、しかしまだ手を付けていない部品といえば、そう!セレスピードポンプです!!
システムの心臓のような部品なのですがここはそのままのようです。
いままでの整備の経緯をもとに点検を進めていきます。
まず、お預かり時セレスピードのポンプ音が聞こえないのでおかしいです。
運転席のドアを開けると準備のためセレスピードポンプが回り油圧をあらかじめ上げておく仕組みになっているのですがポンプの作動音は全くしません。
しかし、お預かりしてしばらく放置しておくとセレスピードポンプが回りだしました。
冷めた状態ではポンプが動くようなので、温度変化でポンプの動作不良が起きている可能性がありますので、診断機でデータをモニターしてみると・・・
やはり!油温58℃付近からセレスピードポンプが回らなくなっていることがわかります。
お客様も”走り始めは大丈夫だけどしばらくするとおかしくなる”とおっしゃっていたこととも症状として一致します。
セレスピードポンプは、左フェンダー内に取り付けられています。
不具合発生時、ポンプへの制御電圧は正常であることから、温度変化で内部抵抗が増加してポンプモーター内部の通電ができなくなり回らなくなったようです。
セレスピードポンプを交換して正常に戻りました。
シンプルな構成ながらも故障内容が多岐にわたるセレスピードユニット 修理するにも大変奥が深いシステムです。