ダイハツ ハイゼットトラック(S211P)
エアコン(冷房)が効かず、何かカチカチ音がするとの事
カチカチ音はすぐにわかりました。
エアコンコンプレッサーのマグネットクラッチが頻繁に入り切りを繰り返している音でした。
マグネットクラッチがONするとコンプレッサーが回り冷媒を圧縮するのですが、すぐに切れてしまいますのでコンプレッサーは回らずこれでは冷房は効きません。
マグネットクラッチはをONするにもOFFするにも条件があるのですが、OFFにするのはガス圧が高すぎたりエバポレーターが冷えすぎたりすると制御が掛かります。
そもそも冷えないのですからエバポレーターの冷えすぎは考えずらいです。
それではガスの圧力スイッチを疑います。
配管の途中に付けられていてガス圧によってON/OFFします。
コネクターを外すとマグネットクラッチはONもせず先ほどのような症状は起きません、逆に圧力スイッチのコネクターを短絡させるとマグネットクラッチはONしました。OFFにもなりませんので圧力センサー付近が怪しそうです。
強制的にコンプレッサーを回してガス圧を確認すると低圧側がゼロよりマイナス側に振ってしまいました。
これは冷媒回路のどこかで詰まりが起きていることを表しています。
配管を触ると高圧配管に結露が発生しています。
本来、高圧配管は圧縮された冷媒ガスが液状になって流れるため温度が高く結露することは考えられません。
圧力センサーが取り付けられている四角い部分を境に結露していますのでこの部分に何か起きているものと思われます。
高圧配管を取り外して圧力センサーを外すと何か黒いものが引っかかっているようです。
調べるとここにフィルターが付いているらしくここに不純物が引っかかって詰まっているようで配管にエアを流してもスムーズに流れないのでこれが原因で間違いなさそうです。
ここが詰まったことで冷媒圧力が上がりすぎてマグネットクラッチをOFFさせてしまっていたのです。
高圧配管を交換して冷媒ガスをチャージするとコンプレッサーは正常に作動して冷房の効きもよくなりました。
調べるとこのころのダイハツ車は圧力センサーに不純物が回ることを嫌いフィルターを組み込んでいたそうです。
元々冷媒回路にはレシーバ&ドライヤー(リキッドタンク)が装着されていて冷媒ガス中の水分や不純物を取り除くものが装着されているのですがそれに捕まらない細かいものが今回のフィルターに引っかかり詰まったようです。
センサーを守るためのフィルターが回路全般の作動不全を起こしていたのではフィルターの役割自体が問題と言えるでしょう。
軽トラックですので走行距離も伸びていませんし使用頻度もそれほど多くないことを考えると設計自体の詰めの甘さを感じさせます。