ランドローバー フリーランダー2のご入庫
ご用命はエアコンの効きが悪く冷えないとの事。
入庫時、外気温は30℃を超える状態でしたが、室内は冷房が効かずもわっと熱気が立ち込めている状態でした。
冷房が効いていませんので冷媒システムの点検をしようとエンジンルームを開けると回っていなければいけないものが作動していないことに気が付きました。
それは電動冷却ファンです。
この冷却ファンはエンジンの冷却水を冷やすラジエーターファンとエアコンのコンデンサーを冷やすコンデンサーファンの役目を兼用しています。
エアコンがオンの状態では回っていなければなりませんが全く回っていません。
エアコンコンデンサーが冷えないのは当然ですがエンジンの冷却水が冷えていないと危険な状態になりますので診断機で水温をモニターすると120℃に達しているではありませんか!!
これはオーバーヒート状態で非常に危険な状態です。
診断機からアクティブテストの指示で電動ファンを強制的に動かすようにしますがやはり回りません。
この電動ファンはファンコントロールアンプからの制御電流で回転をコントロールしています。
診断機から強制的にモーターに回転指示を送るようにしている状態でモーターを小突くと弱弱しくファンモーターは回りだしました。
ファンを回すための電気は来ていますが、モーター自体が壊れて回らなくなったのは間違いありません。
しかしこのファンモーターはアンプとセット販売で高額な部品となりますので、中古品のセットを使用して交換することにしました。
アンプは正常なのかもしれませんがこの部品と同様のVOLVOの車両でこのような事象を経験していますので同時交換に徹します。
VOLVO故障事例 リンク
交換後はファンが正常に回るため水温は安定しましたし、エアコンの冷房もある程度効くようになりました。
ある程度?これは走行中の冷えは非常に良いのですが信号待ちなど一時停止中は少し冷房が甘くなり今一つだったからです。
そこで今度こそ冷媒システムの点検へ取り掛かります。
冷媒ガスを専用機器に取り出して現在入っているガス量を測定すると520g回収することが出来ました。
しかしこの車両の規定量は730g±10gです。
約200g程足りておらず7割ほどのガス量となります。
冷媒システムはガスを媒体として熱交換をするのでガスの量は非常に重要で基本となります。
正規のガス量を充填するとアイドリングでも吹き出し口温度は8℃ほどの冷風がしっかり出るようになりこれでようやく修理は完了となりました。
冷媒ガスはシステムが正常な状態でも少しずつ減っていくものですので数年に一度はガス量の調整は必要になります。
現代の水冷エンジンの冷却は無駄な放熱を防ぐため、細かく電動制御を行うようになりました。
無駄な放熱をしないということは熱をオーバーヒートしないギリギリでコントロールすることになりますので、システムに不具合が発生した場合余裕はありませんので注意が必要です。
”エアコンの効き具合程度?”が実は大きな不具合だったという例になります。
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