FIAT ムルティプラ(186)の御入庫
大変個性的なこちらの車、突然エンジンの振動が大きくなりチェックランプが点灯しました。
1600ccの4気筒ガソリンですが、診断機で故障コードを読み出すと4番シリンダーが1気筒ミスファイヤーを起している模様です。
エンジンが回る為の大切な3要素 よい圧縮・よい火花・よい燃料を調べていきます。※よいという表現は適切という意味です。
まずは、良い火花に当たる点火系統を点検していきます。
イグニッションコイルとスパークプラグ間にはプラグコードがあるタイプです。
このエンジンのプラグコードは先端が劣化で破れて火花がリークすることが多いのですが、こちらの車両では交換したばかりで問題はなく先端に火花が出ますのでイグニッションコイルも含めて正常です。
もちろんスパークプラグも交換済で点検してみても問題なかったので良い火花は正常と判断します。
※良い火花の点検ではイグニッションタイミングなど細かなこともありますが単気筒のみの不具合ですので省きます。
次によい圧縮ですが、4気筒とも圧縮力が均等であるのがベストで、急に圧縮がなくなることは考えにくいのですが一応コンプレッションゲージで圧縮を測定してみましたがやはり正常でしたので問題はありません。
※圧縮不良の故障事例 リンク
残るはよい燃料になります。
1気筒のみミスファイヤーを起こしているのでそれぞれのシリンダーに燃料を噴射するインジェクターを点検します。
燃料はインジェクターと呼ばれる噴射機によりインテークポートに噴射されます。
インジェクターのコイル抵抗を測ると・・・
294.4KΩもあります!
やたらと抵抗値が高くこれでは電気が流れず噴射は出来ません。
正常なインジェクターの抵抗を測定するとやはり15.9Ωしかありません。
故障したインジェクターの単位はキロオームですのでいかに大きいかお分かりになるかと思います。
インジェクターを交換後はしっかり4気筒でエンジンはバランスよく回るようになりました。
インジェクターの内部は電磁コイルでバルブの開閉を行いますが、今回はそのコイルが突然破損したことで開閉不良により燃料噴射が出来なくなりました。
エンジンが回るために必要な3要素はひとつでも欠落すれば正常に回ることができなくなります。
今回の点検の以外にも様々な制御が介入して絡み合っているため、故障探求が困難なこともしばしばあります。