smart kのご入庫
ご用命は右後ろのタイヤから何かが漏れてブレーキペダルもふわふわするとの事。
これは大変危険な状態ですので自走はしないで、ロードサービスを使用して搬送するようにお願いしました。
タイヤの裏を見るとブレーキフルードでびしょ濡れです。
ドラムブレーキですので漏れる部分はホイールシリンダーが濃厚です。
ドラムを外すとやはりブレーキフルードでビチャビチャになっていました。
ホイールシリンダーを取り外してみると内部は酷い状態になっていました。
錆が酷く固着してピストンが抜けないところもありました。
ここまで酷い状態ですと新車時(1999年式)から一度も交換されていなかったのかもしれません。
国産車では一般的にカップキットと呼ばれるゴム部品のみの供給があるため、軽微な錆は取り除きゴム部分を新調するオーバーホールが可能です。
車検などの定期的なメンテナンスの際オーバーホールを行うことでここまで酷い状態に至らないようにします。
同様な故障事例リンク
しかし、輸入車ではカップキットのみの部品供給は無くホイールシリンダーアッセンブリーの供給になってしまいます。
ホイールシリンダーASSYは当然部品代も高いため、車検の際も漏れがなければそのままにしておくことがほとんどになります。
輸入車のコンパクトカーでドラムブレーキを採用している車種も結構ありますので注意が必要です。
FIAT500ツインエア・1.2 VW UP!等
ブレーキフルードの漏れ(油圧系統)はブレーキ故障の中でもかなり重篤なものになります。
現代の車両はブレーキの油圧系統は2系統にすることが義務付けられています。
FF車などの場合、右前・左後 / 左前・右後 FR車では前輪/後輪などで必ず2系統に分かれています。
今回のようにブレーキペダルがふわふわするような感じがするということは油圧回路にエアが噛みこんだ状態になったということですので、もっとエアが入り込んだ場合(2系統とも)ブレーキは床まで入り全くブレーキが効かない状態になります。
漏れを起こさないように前もってメンテナンスをしたり、ブレーキペダルの踏み応えに何か変化を感じた際は、必ず点検を受けるようにしてください。
また、輸入車の場合ホイールシリンダーアッセンブリーでの交換になってしまいますが、いつかは必ず漏れる時が訪れるので、年数・距離の応じて漏れ出す前にメンテナンスの一環としてお取替えください。