トヨタ トヨエース(XZU432)のご入庫
ブレーキペダルがなんだかフワフワして効かない気がするとの事
ブレーキに関することで危険なのでそれ以上乗らないようにしてもらい、出張して確認することにしました。
現地にてブレーキペダルを踏み込むと確かにフワフワして節度がありませんのでブレーキの油圧回路にエアが噛んでいると思われますし、ブレーキ液のリザーバータンクもMIN(ミニマム)達していたためどこか漏れている恐れがあります。
車両を見ていくと左後輪からブレーキフルードがびちゃびちゃに漏れていることが確認できたので後は修理工場に搬送して点検することにします。
工場でタイヤを外すと・・・
この車両は後輪もディスクブレーキですが、外側のブレーキパッドがすべて無くなっています!
”ブレーキパッドがもうありませんよ”と私たちが言うのはプレーキパッドの摩擦材が無くなることを言うのですが、この車両の場合摩擦材を支える鉄製の裏金ごと無くなっているのです!
ブレーキパッドの裏金も無くなったことでピストンの突き出し量が多くなりピストンからフルードが漏れ出したのです。
要するにキャリパーピストンも外れ掛かっていたということになります。
裏金(金属)とディスクローター(金属)同士で激しく摩擦したため裏金は無くなりディスクローターも目視でわかるほど薄くなっています。
ディスクキャリパーをオーバーホールして、ディスクとパッドを新しいものに交換しました。
ブレーキフルードがこれだけ漏れているとはいえ、まだ少しだけ圧力を受け止めることが出来ていたのが幸いでした。
ブレーキの油圧系統は安全の為2系統にすることが義務付けられているのですが、1系統が完全にダメになった場合の制動力が半分というわけではありません。
真剣にブレーキペダルを踏み込んだとしてもかなりの制動距離を必要として止まりませんので非常に危険な状態でした。
過去に同じような事例をご紹介していますが、裏金とディスクが擦りあった場合鉄同士が激しく擦れるためかなり異音と振動が出ますのでこの状態は決して見逃してはいけません。
特に今回は積載車でしたので積載中でしたら総重量は7トンを超えることもありますので考えただけでもぞっとします。
定期的な点検と、運転する方の感知能力は非常に重要だということです。