栃木県宇都宮市の整備工場
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故障修理・整備 セレスピード・デュアロジック フィアット

デュアロジック アキュムレーターとは

デュアロジック(セレスピード)の不具合についてよく書きますがその中で経年劣化という意味で不具合を起こす部品があります。

それはアキュムレーターです。

FIAT500等に使用するデュアロジックにしろアルファロメオのセレスピードは基本的な構造は同じもので、あくまでもマニュアルトランスミッションを自動的にクラッチやシフト操作を行うAMTと呼ばれるシステムです。

マニュアルトランスミッションが基本ですのでクラッチはシングル(単板)クラッチで、スマートやVW UP!も同様のシステムですが、ユニットを制御するものが油圧やモーターを使用することで各社差別化されています。

FIATグループでは油圧を使用してコントロールするシステムを採用しています。

これは、FIAT500のデュアロジックユニットのアッセンブリーで、これがトランスミッションの上部にありミッションを操作するのです。

ユニットに黒い球体状のものが見えますがこれがアキュムレーターと呼ばれる部品で、役割は油圧の蓄圧です。

デュアロジックの操作は、内部のフルード(オイル)に電動ポンプで圧を掛けて(油圧)その圧力で様々なものを動かし操作します。

油圧は40~50barで制御して使うのですが、それを蓄圧する役割がアキュムレーターというわけです。

 

アキュムレーターの中には窒素ガスが充填された空間をダイヤフラムで密封しています、ダイヤフラムを挟んでガス圧と油圧が均衡する形になります。

言葉では伝わりずらいのでイラストでご説明します。

圧力はポンプで上げるのですが50barに達した時点でポンプは停止、40barまで下がると再度ポンプは50barまで上げるということを繰り返します。

クラッチやシフト操作をするたびに圧力は使用され低下しますが、その際イラスト③の動作で圧力が急激に落ちないように保持します。

下がった油圧を窒素ガスの圧力で補うという感じです、これが無いと電動ポンプは常に回っていなくてはいけませんし瞬間的な減圧には対応できません。

 

実際の車両での動作で説明すると、

①停車した車両の運転席ドアを開けた時点でモーターが作動して50barまで油圧を上げる。
②キーを入れイグニッションONでデュアロジックはクラッチを切りギアをニュートラルにシフトする。
③ニュートラルになるとクランキング出来るようになりエンジンスタート。

始動時はこのような流れになります。

 

窒素ガスを封入しているアキュムレーターは劣化によりガス圧が低下していきます。

ガス圧が低くなったアキュムレーターは、ポンプで加圧してもガスの反発が少ないためアキュムレーター内部の空間が広くなかなか50barまで達しませんので①の動作時ポンプ作動時間が長くなります。

②の状態で50barまで上がったとしてもクラッチ操作で油圧が急低下します、しかしそれを補うアキュムレーターのガス圧が足りないため油圧が異常に低くなりシフト操作が出来なくてギアをニュートラルに戻せません。
ニュートラルにならなければギアが噛んでいるためコンピューターの制御でクランキングが出来なくなりエンジンが掛からないという症状になります。

このような場合何度かイグニッションスイッチの入り切りすると掛かるようになるのですがそれはポンプが再度回り圧力を上げてくれることによってシフト操作が出来ニュートラルになるからなのです。

また、冷間時はギクシャクするが暖まるとスムーズに作動するようになるという症状もセレスピードやデュアロジックでは多いのですがこれもアキュムレーターの温度が上がりガス圧が上がることで動作が正常に近づくことが考えられます。
※ミッションオイルが暖まりオイルの粘度が下がり動作がスムーズになることも一部あるとは思います。

 

このような症状の車両で油圧測定をした結果がこちらです。

ニュートラルからリバースにシフトを行ったものですが一度シフトしただけで6balも急激に油圧が落ちてポンプが作動する40barまでの間で2回しかシフト動作が出来ませんでした。

アキュムレーターを新しいものに交換した結果がこちら

一度のシフト操作での油圧低下が明らかに少なくなっています。

50から40barに低下するまでに4回動作できるようになりました。
※リバースは他のギアに比べシフトストロークが大きく多くの油圧を使用しますので油圧の変化を比較しやすいのです。

最後に不具合を起こしたアキュムレーターを分解したものがこちら

 

ダイヤフラムが一部剥離しています。

ゴムのダイヤフラムがここまで劣化していれば窒素ガスも抜けてしまっても不思議ではありませんし、ダイヤフラムもゴムのため柔軟性を失うのかもしれません。

どれくらい使ったらだめになって交換が必要かは個体差も大きいので一概には言えませんが、先ほどのような症状が出たり酷い場合は走行中にニュートラルになってしまうこともありますので症状が当てはまる場合はアキュムレーターを疑ってもよいかも知れません。

 

 

 

 

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