トヨタ ノア(AZR60)のご入庫

ご用命は、”ハンドルを切るとなんだか遊びが大きい感じがするし真っすぐにならない感じがする”とのこと

早速、テスト走行をしてみるとお客様がおっしゃっている通りステアリングに大きな遊びが見られるのと、ハンドルセンターが定まらない状態が確認できました。

ハンドルセンターは右旋回した後は右寄り、左旋回した後は左寄りになります。

車両をリフトアップして答えはすぐにわかりました。

ステアリングラックを固定するマウントが切れてグラグラでラック本体が左右に動いてしまっています。

これでは、ラックの位置が定まらないので遊びも大きくなりますしハンドルセンターも定まらないはずです。

ステアリングラックのマウントを交換しようとしましたが残念ながらこちらの部品は単体での供給がされていないためステアリングラックアッセンブリーでの交換になりました。

マウントが4カ所ですが見事に切れてしまっています。

ラックを交換して位置が定まり先ほどの不具合症状は解消しました。

 

しかし今回の件で重大な問題があります、それはこちらのお車が最近 格安車検店で車検を受けたばかりだったということです!

昨日今日でここまで酷くマウントがちぎれたとは思えません。

当たり前のことですがステアリング系統も重要保安部品ですので見落としてはならない部分です。

なぜ、これだけ酷い状態でかつ複雑ではない部分を、見逃すようなことが起きたのでしょうか?

私も長く自動車整備業界にいるので見当は付きます。

・整備士が時間に追われじっくりと車両を観察(整備)することが出来ない。
・テスト走行を行わない。
・整備士の経験不足

大体このようなことが重なって起こることが原因です。

格安や短時間での車検を売りにしているということは、利益向上で回転を良くするしかなくそのため整備士に無理な時間制限を指示します。

それに格安店の為、”安さだけを求めるユーザーにはそれなりの整備をすればいい”という環境になります。

そのような環境で育った整備士は、故障探求を行う経験も得ることが出来ません。

経験不足の整備士が時間に追われれば、見落とすのは当たり前です。

確かになるべく安く済ませたいというユーザー側の心理はよくわかるのですが、安さや速さを求めるような効率至上主義は結果として今回のような重大な見落としを引き起こす要因になります。

効率至上主義は格安店だけでなく社会の様々な分野に蔓延してきています。

技術者が育たないような流れが自動車整備業界だけでなくどこの業界でも起きていることに、今後の社会に不安を感じざるを得ません。