スズキ パレット(MK21S)のご入庫
ご用命は、”エンジンが調子が悪く前に進まない”との事
入庫時、明らかにエンジンが1気筒失火しているのが分かる位調子が悪いです。
パワーバランステストで1番シリンダーが失火していることがわかりました。
不調の原因は、こちら
イグニッションコイル筒部絶縁破壊によるスパークのリークです。
亀裂が焦げているのがお分かりかと思います、ここからスパーク(火花)が逃げて1番シリンダーに点火できなくなっていました。
イグニッションコイルを新品にして作業終了です。
・・・というわけにはいきません。コイルを壊した真犯人を直さなければまた壊れてしまいます。
真犯人はこちら
スパークプラグです、接地電極が摩耗してギャップ(隙間)が規定値以上広がってしまったことがコイルを破壊した本当の原因です。
では、どれほどスパークプラグの摩耗がイグニッションコイルに影響を及ぼすか見てみましょう。
新品のイグニッションコイルと新旧のスパークプラグの組み合わせでコイルの2次電圧を測定してみます。
新品のイグニッションコイル+摩耗したスパークプラグ
ピーク電圧が36KVもあります!
新品のイグニッションコイル+新品のスパークプラグ
摩耗したスパークプラグでは、イグニッションコイルのスパーク電圧が10kv以上大きいのがお分かりになると思います。
ギャップが広がったため、火花は飛びづらくなりましたコイルはその広がったギャップを飛び越えさせるために大きな電圧を作るためこのような高い電圧になるのです。
大きな電圧を作るためにイグニッションコイルは無理をし続けます、結果コイル内部の絶縁破壊などを起こして壊れてしまうのです。
よく、コイルを壊さないためにもスパークプラグを良い状態に保ちましょうというのはこういう理由があるためなのです。
スパークプラグ製造の最大手のNGKでもこのような故障を防ぐ案内を出しています。
とても分かりやすい案内だと思います。
ロングライフプラグは通常10万km走行毎のお取替えをお勧めしていますが、軽自動車はこれには当てはまりません5~6万kmが良いところでしょう。
今回の不具合を起こしたお車に使用していたスパークプラグは、接地電極側はニッケルのノーマルタイプでロングライフプラグではありません。寿命は2万kmが良いところです。
プラグの交換を怠り、イグニッションコイルまで壊すのはもったいないことです。
以前にも、スパークプラグの記事を書きましたので参考にしてください。リンク