ホンダ フィット(GD1)のご入庫
加速時にブルブル震えるとの事
動画では分かり辛いですが、ブーンという音とともに振動が起こります。
この時代のホンダ車の定番のスタートクラッチのジャダーです。
※ジャダー:激しい振動
ホンダではトルク・コンバータを使用せずにトルク・コンバータ同様の発進のスムーズさとクリープ発生させるために湿式多板クラッチ(スタートクラッチ)を採用していていました。
このスタートクラッチは湿式の為、フルードが劣化するとジャダーを引き起こすのです、そこでホンダ技研では、HMMF(ホンダマルチマチックフルード)でフルードの交換を行うことと、スタートクラッチの当たり出しを行うことを対策としました。
8万km走行したこちらのお車、まずはフルードの交換を行います。
入っているフルードはご覧のように真っ黒です。
HMMFを入れ替えていきますがなかなか綺麗になりません。
結局ここまできれいにするために14Lもフルードを使用しました。
※どのタイプのトランスミッションでも、フルードは使うほど劣化しますし金属粉や汚れが取り込まれます。
自動変速タイプのミッションは内部構造が複雑で全部のフルードを入れ替えるのに全容量よりも多くのフルードを必要とします。
しかし、フルードの劣化で引き起こされる不具合ですので多くのフルードを必要としてでも新油に入れ替えなければ意味がないのです。
新しく綺麗なフルードをクラッチ板にしみこませることと、当たり出しの工程を行いジャダーは解消しました。
当たり出しの工程はこちらをご覧ください
当然あまりにも酷い場合は、スタートクラッチのオーバーホールが必要になってしまいます。
オーバーホールに至らないためにもフルード交換の重要性が高まるのです。
先ほども述べましたが、ホンダに限らずミッションのフルード交換は必須です。しかし、最も重要なのは交換作業の内容なのです。
フルード全体を綺麗にできていない(その量では出来るわけがない)様な他店での見積もりをよく見せてもらうのですが、何が目的で行うかを考えれば綺麗にするためにフルード量も増えますし、工程も増えるので手間暇も掛かり金額もかさみます。
しかし、中途半端な交換作業はいくら安く済ませたとしてもあまり意味がないのです。
単に”交換”という言葉と”金額”だけで比較するのではなく、本当に対価と見合う内容なのか判断して見極めたうえで作業を依頼することが大切なことです。