スズキ エブリィ(DA64)のご入庫

ご用命は、”いくら走ってもぬるい風しか出てこない” との事

確かにご入庫時、暖房がぬるい風しか出ていません、しかしエンジンの回転を上げると暖かくなります。

暖房はエンジンの冷却水の温水を利用するのですが、こちらのお車には水温計は付いていませんので水温がどれくらいになっているかは判断できませんので、診断機を使い水温センサーの検出している温度をモニターしてみます。

 

アイドリングでエンジン回転を上げると90℃ほどになります。

 

そのまま走行してみると・・

僅か3分足らずで水温が70℃まで下がってしまいました。

これは、オーバークールという症状で、冷え過ぎということです。

この症状は、外気温が低くならないとわからない症状でこの日も外気温は10℃を下回る寒い日でした。

原因は、サーモスタットと言う冷却水路の開閉弁です。

新品と比べるとこの通り閉まっていません。

本来、サーモスタットは水温が低い時は閉じてラジエーターに冷却水が回らないようにしています。

水温がある一定の温度(この車は88℃)に達するとサーモスタットは開き冷却水をラジエーターに送り冷やすことでオーバーヒートしないような仕組みになっています。

今回は、サーモスタットが閉まらなくなったため常にラジエータに冷却水が回る状態になって冷やされすぎてしまった結果が症状として現れました。

交換後の正常な水温の変化はこのようになります。
80~90℃台を常に保つように制御をします。

サーモスタットは、この様に常に開閉を繰り返していますので、どの車両でもいつかは壊れてしまいます。

タイミングベルト交換がある車両では、ウォーターポンプとセットで交換をお勧めするのですが、理由は不具合の始まりがわかりずらいためタイミングベルトを交換する時期ぐらいで壊れることが多いので予防的に交換をお勧めするのです。

 

問題は、昨今の自動車は水温計が付いていないモデルが非常に多くこの症状を認識するまで時間が掛かったり、不具合を起こしていることに気が付かないということなのです。

水温計があれば、暖まれば水温計はほとんど動くことはありませんし、オーバークールなら走って走行風が当たると水温計が下がってしまいます。

アイドリングで風が当たらなければ再び水温計が上がるのですぐにこの症状を見極めることが出来るのです。

このお車も、水温計が付いておらず水温ランプがその代わりを担っています。

50℃までの低い水温では青いランプが点灯して、オーバーヒートなど温度が上がりすぎた場合赤く点灯して知らせます。

オーバークールで50℃以下に下がりランプを点灯させるには、外気温がよほど低くならなければ達しません。

コストダウンの結果、最悪の場合のみ知らせるような作りになったのでしょうが、僅かなオーバークールも立派な故障です。

 

エンジンが適温に達しなければ、単にヒーターがぬるいだけでなくガソリン噴射量が増えて燃費が悪くなったりエンジンの調子も悪くなることもあるのです。

残念ながらユーザーからの指摘が無ければなかなか発見しずらい不具合ですので水温計が付いていないお車ではヒーターの効きや暖かい空気が出るまでの時間などを気にしてください。

水温計が付いている車では、走行中の水温の変動が無いか気にするようにしてください。

よくわからない場合は、お気軽にご相談ください。