ニッサンフィガロのご入庫
”オーバーヒートしてしまった”との事
点検するとラジエータの冷却水は空っぽです,しかし外側に冷却水が漏れた形跡が見当たりません。
嫌な予感がします・・・
どこに冷却水が行ってしまったのでしょう?
このように外部に漏れがないのでしたら、冷却水が減る場所といえばここしかありません!
それは、シリンダー(燃焼室)です!
エンジンのある部分が壊れると冷却水の通路と燃焼室がつながってしまい、冷却水が燃焼とともに排気ガスと一緒に排出されてしまい減ってしまうのです。
(※無くなる場合もありますが、逆に圧縮圧力がラジエータにまわり破裂させるなんてこともあります)
現にラジエータキャップを外すとそこから排気ガスのにおいがしますので、冷却系統と燃焼室がつながってしまっているのは確実です。
このように排気ガスが冷却系統に混入するのは原因としてヘッドガスケット部分です。
シリンダーヘッドとシリンダーブロックの間にはガスケットがあり、シリンダーの内圧(爆発力)を外に逃さなかったり、冷却水やエンジンオイルの通路をシールしてシリンダーへの流入を防ぐ仕組みになっています。
シリンダヘッドとシリンダブロックは精密な平面が保たれていてその平面同士を、合わせてボルトで留めているですが、いくら精密な平面でもわずかな隙間が出来てしまう為、ガスケットで密封するのです。
しかし、オーバーヒートのような設計値以上に大きな熱が掛かった場合、シリンダーヘッド・ブロックともに歪むことで隙間が出来てガスケットが密封することが出来なくなり、圧縮や冷却水が抜けてしまうことになります。
実際、こちらのお客様一ヶ月ほど前に電動ファンのコントロールスイッチが壊れて軽いオーバーヒートを起こしています。その時のダメージが引き金になってしまったと思われます。
サーモスタットもここまで壊れていました。
今回は、測定した結果ヘッド・ブロックともに大きな歪は発生していませんでしたので、ヘッドガスケットを交換して ヘッドをオーバーホールして組みなおす事になりました。
せっかく分解したので綺麗に洗浄して、バルブのステムオイルシールも交換します。
このオイルシールが痛むとオイル下がりという症状で白煙が出る不具合が発生します。
最後にタペットクリアランスを調整して終わりです。
オーバーヒートのトラブルとしては今回は軽微なもので済み良かったです。
オーバーヒート時の対処いかんではエンジンを修理できないレベルまで壊してしまうこともありますので、くれぐれもご注意を。