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故障修理・整備 セレスピード・デュアロジック フィアット

FIAT500 1.2POP 走行不能!

フィアット500 1.2Lのご入庫

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ご用命は、ニュートラルからギアが入らない!”との事

いつものデュアロジック(トランスミッション)の故障かな?と思いながら故障状況を確認したところ。

  • 走行中エンストした。
  • その後ニュートラルからギアが入らなくなった
  • ABS VDCやデュアロッジック エンジンチェックランプなど警告灯が点灯しっぱなしになった。

img_20160928_210936

エンストはデュアロジック不良でクラッチが切れなかったりギアが抜けなくなったりすれば起こりそうですが、ABSランプなどがなぜ点灯したのかが気になります。

とにかく、診断機で故障コードを読み出してみます。

なるほど、エンジンコントロールユニットではP1220アクセルペダルポテンショメーターの異常を検出しています。

img_20160928_211724

ABSユニット・デュアロジックユニットは、エンジンコントロールからの信号異常でチェックランプを点灯させているようです。

それぞれのコントロールユニットはリンクしているので、どこかのシステムに異常が発生するとこのように連鎖的にチェックランプがたくさん点灯するのです。

img_20160930_131208

 

不具合メカニズムはこんな感じです。

   アクセルペダルのポテンショメーターが故障でエンジンチェックランプ点灯(エンスト)

                      ↓

   エンジンのアクセル系統に異常があるためCANを通じてABS・デュアロジックランプ点灯

                      ↓

      デュアロジック シフト制御停止(ニュートラルからシフトできず)

                      ↓

                    走行不能

このような経緯で走行不能に陥りました。

 

では、アクセルペダルポテンショメーターとは何なのでしょう?

img_20160930_132909

※アクセルペダル内にポテンショメータトラック1・2が内蔵されています。

現在の車は、アクセルペダルを踏み込むとペダルのセンサー(ペダルポテンショメーター)を通じた電気信号をコンピュータを通してエンジンに信号を送りスロットルバルブを動かすことでエンジン回転をコントロールする仕組みになっています。

昔はアクセルペダルとスロットルバルブはワイヤーで繋がって機械的にコントロールをしていましたが、ワイヤーを電気信号に変えることで横滑り防止装置など人間ではコントロールできない領域をコンピューターが介入して制御することが出来るようになりました。

アクセルコントロールは自動車の走行に大変重要な位置づけですので、故障しても何とか走行できるように2系統信号を出力することで1系統が壊れても残りの1系統で最低限動けるようなシステムを持っています。(フェイルセーフと呼びます)

今回故障を起こしたアクセルペダルポテンショメータの信号を見てみましょう。

  • 赤:アクセルポジショントラック1
  • 緑:アクセルポジショントラック2
  • 青:スロットルアングル

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トラック1とトラック2の二系統ありますがそれぞれがばらばらに出力されているのがお判りになりますか?

アクセルペダルからの信号(トラック1・2)がおかしいためスロットルアングルが定まりません!

 

正常なポテンショメータはこのようにトラック1・2が同じ動きをして、それに伴いスロットルが動くので波形がシンクロします。

img_20160930_110129

2系統の信号アンマッチなため エラーとして現れました。

エンジン自体はフェイルセーフが働いているので正常にエンジンもかかりますしアクセルペダルに反応してなんとかふけ上がることが出来ます。

しかし!問題はアクセル系統(エンジン制御)がフェイルセーフ機能しても、リンクしているデュアロジック(ミッション)制御が停止するため走行不能になってしまうことです!

車両全体としてはフェイルセーフは機能せずデュアロジックが故障してしまった時と同じ状態になり最悪の状態で走行不能に陥ってしまいました。

 

しかし、それは車両設計の問題ですのでFIAT社にもう少し故障時のフェイルセーフを考えて何とかギリギリ動く状態にでもしてもらいたいのですが、お国柄なのか詰めの甘さを感じます。

デュアロジック不具合での走行不能は経験したことがある方はお分かりになると思いますが突然前触れもなく走行不能状態になるので大変恐怖を覚えるものです。

いくらラテンののりとは言っても、このような重要なシステムの信頼性はもう少し上げてもらいたいですね。

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