このカタツムリみたいなもの何だかわかりますか?
これは、ニッサン フィガロのヒーターユニットです。
ヒーターユニットとはエンジン冷却水を室内に回してその温水を利用してヒーターとして利用する為のユニットです。
今回そのヒーターユニット内のヒーターコアからの冷却水漏れが発生して室内から取り外すことになりました。
写真のようにダッシュパネルなど全て外さないと取り外すことが出来ません。
ヒーターコアはラジエータと同じようなもので中に冷却水を通して風を当てることでそこから熱を取り出します。
銅とプラスチックの組み合わせで出来ていますが経年劣化でプラスチックが割れて漏れだしてしまいました。
パイプ状の部分も外す際あっさり割れてしまいました。さすがに25年の歳月は堪えます。
問題は、このヒーターコア 日産自動車では製造廃盤で部品供給がもうありません。
こうなってしまうと、中古品を探すか、現品の修理、どこかに在庫として持っているところを探すか、などが修理方法の選択肢になります。
・中古品はあったとしても同じように年数がたっていますのでいつ同じことになるかわかりませんので却下。
・現品の修理はプラスチックの部分の修復は不可能なのでラジエータ屋さんでも無理だといわれました。
そこで、方々のラジエーター屋さんをあたることにしましたが、やはり25年前の車の部品を在庫しているところなんてありません。
諦めかけていたところ、問い合わせたラジエータ屋さんで
「パイプ部分が割れていなければ現品修理可能なんだけど・・・割れてしまっているので無理ですね」
『そうですか・・・やはり無理ですか・・・ 』
ここもダメかと思ったところ
「でも寒冷地仕様のヒータコアなら新品がありますよ。取り付けるのに加工が必要ですけどね」
『えー!!あるんですか!それも新品!!』
もちろん購入しました。
寒冷地仕様はヒーターコアの容量を増すために大きくなっているので加工しなければ取り付けることが出来ないそうですが。
廃盤部品が手に入るのでしたらそんなことはかまいません!
このように標準品と寒冷地仕様大きさの違いは歴然です。
ケースは小さい標準品をつけるためにたくさん足が出ているのでその部分を全て切り取ります。
フラップのスポンジも劣化でボロボロでしたのですべて張りなおして組みつけました。
これでこれから10年以上はこの部分は大丈夫でしょう。
オーナー様とても大切になさっているので一時はどうなるかと思いましたが良かったです。
ちなみに今回現品での修理ができなかった理由は樹脂のパイプ部分にヒーターバルブが付いているためでした。
ラジエータ屋さんいわく、ヒーターバルブが樹脂でなければ真鍮で製作することが可能らしいのですが、ヒータバルブを作ることができないそうです。
今後、いよいよ部品がなくなってしまった場合は、コアは真鍮で製作してバルブは別体で設置するなど考えなければならないかもしれません。
整備する側もある程度までは加工や再製作などで対応することはできますが、費用がかさむのは避けられません。
国産車は部品供給停止が結構早いので大変困ります。
自動車メーカーも部品製作、在庫は経営の負担になることはわかるのですが、ホンダ技研の故本田宗一郎さんの「1台でも需要があるのならそれを供給するのがメーカーの努め」という方針を少しは継承してもらいたいものです。(残念ながらホンダも旧車の部品供給は酷くなってしまいましたが・・・)