ダイハツ エッセのご入庫
珍しいマニュアルミッション車なのですが、シフトレバーが入りづらいし、リバースではギア鳴りが酷くシフト操作が出来ないとの事。
ご入庫して症状を診てみると前進ギアは入りづらいというレベルではなくかなり無理をしないと入りませんし、リバースはギア鳴りが酷くクラッチが全く切れていないことは間違いありません。
しかし、クラッチペダルの節度はそんなに悪くなく、クラッチワイヤーの調整もおかしな感じがしませんので、そうなるとベルハウジング内でなにか異常が起きていると判断できます。
クラッチオーバーホールを前提にトランスミッションを取り外します。
トランスミッションのベルハウジング内に何かがぶつかり傷だらけになっています。
原因はクラッチカバーにありました。
右側にある曲がったプレートはストラッププレートと呼ばれる部品で、プレッシャープレートとクラッチカバーを結んでいるのですが、3か所のうち2か所が破断してしまっていました。
このプレートが破断する際にベルハウジングと接触して傷をつけていたのです。
プレートは本来はこのようにつながっています。
しかし、ストラッププレートが破断してしまったためプレッシャープレートとカバーはこのように外れる寸前の状態になっていました。
これではクラッチをうまく切ることが出来ず、トランスミッションに動力が伝わってしまいギアをシフトすることが出来なくなるわけです。
同様の故障事例 リンク
クラッチの部品はすべて交換が必要なのは当然ですが、うまくクラッチが切れていなかったためフライホイール面も部分的に滑り傷んでしまっているので平面研磨を行います。
平面研磨を行ったフライホイール
このフライホイールに新しいクラッチディスク・クラッチカバー(プレッシャープレート)が組付けられることで、すべての部品同士の平面が保つことができるため、ジャダーなどの症状を防ぐことが出来ます。
交換後はスムーズにクラッチ操作・シフト操作ができるようになりました。
クラッチディスクの摩耗具合としてはまだまだ使えそうでしたが、クラッチカバーのほうが先に音を上げてしまった故障事例です。