ジャガー Sタイプのご入庫
エアコンが効かずディーラーで冷媒ガスの調整を行ったがよくならなかったとの事。
ディーラーでは他に原因があるが修理代はいくらかかるかわからないと言われ恐ろしくなり当店にご来店になりました。
点検を始めます。
確かに吹き出し口の温度はぬるく冷房は効いているように感じません。
しかしディーラーで冷媒ガスの調整をしているので,冷媒回路のガス量に問題はないと思われます。
実際エンジンルーム内の冷媒配管はしっかり冷たくなっていますので冷媒システムはひとまず正常と判断します。
次に欧州車でよくあるヒーターコントロールバルブを見ると冷却水の漏れもありますし室内に向かう配管も暖かく温水が室内に回り込んでいるのは間違いありません。
同様故障事例 リンク
室内に温水が回りこむことでせっかく冷えた空気を暖めてしまうのです。
まずこのバルブの交換が必要であることをご説明しました。
ただしこの車両でよく起きることとしてバルブの電気故障が引き金でコントロールしているエアコンコンピューターを壊してしまうことが多いことをご説明しました。
当然2カ所の修理になれば金額は大きくなることもご説明いたしました。
初めにヒーターバルブを交換します。
ヒーターバルブには冷却水の漏れた跡が見えます。
交換後診断機を当てて作動を確認しますがやはりバルブは動いていません。
エアコンの故障コードも複数検出していますので操作の中枢を担っているエアコンコンピューターも壊れてしまっているのは間違いなさそうです。
ユニットを取り外して内部基盤を見るとやはり一部に焦げた跡が見られます。
ヒーターバルブの故障で基盤にショートが起きたようです。
コンピューターユニットは専門業者に修理を依頼し、修理したユニットを取りつけてエアコンの冷暖房ともに正常に作動するようになりました。
この故障は比較的定番の故障のようでヒーターバルブが壊れている場合、コンピューターユニットもほぼ壊れているそうです。
恐らくヒーターバルブのコネクターに冷却水が廻って端子も腐食しているのでここでショートしてしまったのではないかと思われます。
コンピューターの新品は当然高額ですし年数的に入手も難しくなってきていますが現品修理がまだできるのは救いです。