いすゞ エルフ(NJR85)のご入庫

DPDの堆積限度を超えてそのたびに対策していましたが(事例リンク)いよいよ強制再生もできなくなってしまいました。
正常な状態ですとDPDの差圧が大きくなるとススで詰まっていると判断して自動的に強制再生が始まります。
しかし、"強制再生を無視したり" "使用過程の不利な癖"などで詰まりが解消しないことが続くとエンジンチェックランプを点灯させてフェイルセーフを掛けます。
※フェイルセーフはメーカーによって条件や作動の仕方は変わります。
こちらの車両、チェックランプが点灯していますのでまずは故障コードを読み出します。

PM過捕集やはりDPDの堆積量に関するものです。
診断機から強制再生を試みますが排気温度が上がらず、タイムオーバーで再生モードが終了してしまう状態になりました。
今までは強制再生で堆積量も減らすことが出来ていたのですが今回は無理そうです。
まず再生モードでの排気温度が上がりませんので排気温度を上げる仕組みに問題がないか調べていきます。
まずは排気シャッターです。

この車両はDPDの前側に一つだけあるのですが、再生モード中はこのシャッターが閉まります。
動作を見ているとしっかり閉まっていますのでここは問題がないと判断します。
次にDPD再生の方法にはいろいろあるのですが、この車両ではエキゾーストに燃料噴射用のインジェクターが付いているタイプです。

再生モード中に排気ガス中に軽油を噴射して酸化触媒で燃焼させ排気温度を上げる仕組みになっています。
先ほど強制的に再生モードにした際、温度は低めだったものの上昇したので全く噴射していないというのは考えづらいためひとまず正常と判断します。
※噴射量が少ないということも考えられますがひとまず保留です。
排気温度を上げるシステムが正常とすると次に考えられるのはDPDの詰まりです。
DPD自体が詰まってしまった場合、排気ガスの抜けが悪くなるので温度上昇はしづらくなります。
DPDの詰まり具合は数値で読み取ることが出来ます。
それは差圧センサーの検出値で、DPDの入り口と出口の圧力の差を数値化します。

この車両ではアクセル全開で差圧は4.9Kpa以下が基準値となります。

しかし約6Kpaと限界値をはるかに超えてしまってますし、アイドリング時も0.8kpaと高めです。
強制再生を行っても温度が上がらず再生が出来ない状態ですが、どうやらDPD自体が詰まって排気ガスの流れが悪くなったことが原因のようなので、DPDの分解洗浄を行うことになりました。
次回、分解洗浄の内容をご紹介します。