フィアット パンダ(169)のご入庫
クラッチからキーと大きな異音がするとの事です。
エンジンを掛けると甲高いキー音が聞こえてきます、音源を探るとエンジンとトランスミッションのつなぎ目から聞こえてきますのでクラッチからの異音のようです。
こちらのお車、AMTタイプのデュアロジックと呼ばれる自動変速のトランスミッションとなります。
自動変速といってもマニュアルミッションをデュアロジックが操作するタイプですのでトルコンではなく従来のシングルクラッチが使われています。
トランスミッションを取り外してクラッチを見てみます。
金属片と金属球が出てきました!
クラッチレリーズベアリングが焼き付き回らなくなっていました。
回らなくなったベアリングとクラッチカバーが激しく擦れて音が出ていたのです。
クラッチ板の摩耗も進んでいますね。
フォークにも負担が掛かり摩耗したり曲がったりしますので交換します。
新しいクラッチセットに交換して修理完了となりました。
フィアット500やPANDAに搭載されているデュアロジックシステムは従来のマニュアルミッションからの派生モデルなのですが、自動変速に伴ってのクラッチに関する部品は特に強化されていません。
デュアロジックシステムは信号待ちなどの際は常にクラッチを切った状態(レリーズベアリングを押し付けた状態)でスタンバイしているため、マニュアル車に比べてレリーズベアリングにかかる負担は非常に大きいためこのような焼き付きなどを起こします。
渋滞や信号に引っ掛かるシチュエーションが多い都心部ではクラッチ板の摩耗よりもベアリングの寿命が先に訪れますので距離に関係なく異音が出始めた場合はクラッチのオーバーホールが必要になります。
ちなみにニュートラルレンジにしても数分間はクラッチを切った状態が続きますので負担を軽減することは出来ません。