ダイハツ ムーブ(L175)のご入庫
ご用命は、中古で現状購入したので悪いところ直して車検をとってもらいたいとの事。
走行距離は9万km台で平成20年式11年経過しています。
お客様が気になったところは車体の振動が大きくて常にブルブルしていることだそうです。
確かにエンジンを掛けていると車体全体にエンジンの振動が伝わり不快な状態でした。
このような症状でまず疑うのはエンジンマウントです。
エンジン側マウント
エンジン側のマウントを交換することでかなり振動は減少しましたが他にも2個マウントしていますのでそちらも交換します。
ミッションマウント
車両下部のドックボーンマウント
マウントを全数交換することで振動は新車時の様に伝わらなくなりました。
次に足回りのジョイントブーツが破けていましたので交換
ロアアームボールジョイントブーツ
分解してジョイントにガタが出ていないことを確認します。
もしガタが出てしまったりしぶりがあるようですとジョイント(この車両はロアアームASSY)での交換が必要ですが、今回は問題ありませんでした。
グリスアップして新しいブーツに交換します。
エンジンルームではエアクリーナが真っ黒ですので交換
スパークプラグもロングライフプラグに交換
スパークプラグは摩耗と汚れが酷い状態でした。
汚れていたスロットルバルブも清掃します。
エンジンヘッドカバーからオイルが漏れていましたのでパッキンを交換します。
オイルメンテナンスが悪く漏れが発生しているのではないかと思いましたがエンジン内部はきれいでした。
オイルメンテナンスが悪い車は中は茶色いのですが,鉄やアルミの金属の色が見えるので良好な状態といえます。
当然エンジンオイルも交換
オイルエレメントも漏れていますね。
新オーナーになってリセットを兼ねて遅効性クリーナーWAKO'Sイークリーンを添加して汚れをさらに落とします。
最後にオートマチックトランスミッションのフルードを圧送交換で終了です。
始めは真っ黒なフルードも・・・
すっかりきれいになりました。
9万kmも走っているのに交換して大丈夫?と思われる方もいらっしゃると思いますが交換前に走行テストを行い滑りなど不具合が無い状態を確認の上で交換です。
現状不具合が起きていない車両はしっかりした手順でフルード交換を行えば問題ありません。
また、この圧送交換はオイルクーラーラインに機器を割り込ませるのでオイルパンに溜まったフルードを巻き上げることも少なくリスクを回避出来て、かつ効率よくフルード交換が出来ます。
入庫時はどうなるものかと思いましたが、目に映る不具合箇所の割に状態の良い車両でした。
お客様はこちらの車両を安く購入できたのでメンテナンスに多少お金が掛かっても安心して乗れるようにしてほしいという考えでした。
確かにここまでメンテナンスを行うと金額的に高額になりますが、とても9万kmの車両とは思えない状態まで回復することが出来て安心して乗ることが出来ます。
世間での車両の評価基準は年式と距離が基本となりますが、単純に距離が伸びているからとか古いからだけでは判断できないこともたくさんありますし(高年式で低距離でも大丈夫ではないということもあるということです。)、不利な条件でもメンテナンスをうまく施すことでかなり回復させることもできるものです。
車両の状態にもよりますが今回は良いメンテナンス例だと思いますので参考にしてみてください。