栃木県宇都宮市の整備工場
TEL 028-656-2588
月〜金 9:00 - 18:00 , 土・第2日曜 10:00 - 18:00

ご注意

ブログ内の整備・修理等各記事の作業内容や作業方法のご質問にはお答えできません。 また、作業料金についても車両を当社まで入庫いただき、実際に見させていただいてからのお見積りとなります。 概算の金額についても電話やメールではお答えできませんので、あらかじめご了承ください。

故障修理・整備 セレスピード・デュアロジック フィアット

デュアロジック アキュムレーターとは

デュアロジック(セレスピード)の不具合についてよく書きますがその中で経年劣化という意味で不具合を起こす部品があります。

それはアキュムレーターです。

FIAT500等に使用するデュアロジックにしろアルファロメオのセレスピードは基本的な構造は同じもので、あくまでもマニュアルトランスミッションを自動的にクラッチやシフト操作を行うAMTと呼ばれるシステムです。

マニュアルトランスミッションが基本ですのでクラッチはシングル(単板)クラッチで、スマートやVW UP!も同様のシステムですが、ユニットを制御するものが油圧やモーターを使用することで各社差別化されています。

FIATグループでは油圧を使用してコントロールするシステムを採用しています。

これは、FIAT500のデュアロジックユニットのアッセンブリーで、これがトランスミッションの上部にありミッションを操作するのです。

ユニットに黒い球体状のものが見えますがこれがアキュムレーターと呼ばれる部品で、役割は油圧の蓄圧です。

デュアロジックの操作は、内部のフルード(オイル)に電動ポンプで圧を掛けて(油圧)その圧力で様々なものを動かし操作します。

油圧は40~50barで制御して使うのですが、それを蓄圧する役割がアキュムレーターというわけです。

 

アキュムレーターの中には窒素ガスが充填された空間をダイヤフラムで密封しています、ダイヤフラムを挟んでガス圧と油圧が均衡する形になります。

言葉では伝わりずらいのでイラストでご説明します。

圧力はポンプで上げるのですが50barに達した時点でポンプは停止、40barまで下がると再度ポンプは50barまで上げるということを繰り返します。

クラッチやシフト操作をするたびに圧力は使用され低下しますが、その際イラスト③の動作で圧力が急激に落ちないように保持します。

下がった油圧を窒素ガスの圧力で補うという感じです、これが無いと電動ポンプは常に回っていなくてはいけませんし瞬間的な減圧には対応できません。

 

実際の車両での動作で説明すると、

①停車した車両の運転席ドアを開けた時点でモーターが作動して50barまで油圧を上げる。
②キーを入れイグニッションONでデュアロジックはクラッチを切りギアをニュートラルにシフトする。
③ニュートラルになるとクランキング出来るようになりエンジンスタート。

始動時はこのような流れになります。

 

窒素ガスを封入しているアキュムレーターは劣化によりガス圧が低下していきます。

ガス圧が低くなったアキュムレーターは、ポンプで加圧してもガスの反発が少ないためアキュムレーター内部の空間が広くなかなか50barまで達しませんので①の動作時ポンプ作動時間が長くなります。

②の状態で50barまで上がったとしてもクラッチ操作で油圧が急低下します、しかしそれを補うアキュムレーターのガス圧が足りないため油圧が異常に低くなりシフト操作が出来なくてギアをニュートラルに戻せません。
ニュートラルにならなければギアが噛んでいるためコンピューターの制御でクランキングが出来なくなりエンジンが掛からないという症状になります。

このような場合何度かイグニッションスイッチの入り切りすると掛かるようになるのですがそれはポンプが再度回り圧力を上げてくれることによってシフト操作が出来ニュートラルになるからなのです。

また、冷間時はギクシャクするが暖まるとスムーズに作動するようになるという症状もセレスピードやデュアロジックでは多いのですがこれもアキュムレーターの温度が上がりガス圧が上がることで動作が正常に近づくことが考えられます。
※ミッションオイルが暖まりオイルの粘度が下がり動作がスムーズになることも一部あるとは思います。

 

このような症状の車両で油圧測定をした結果がこちらです。

ニュートラルからリバースにシフトを行ったものですが一度シフトしただけで6balも急激に油圧が落ちてポンプが作動する40barまでの間で2回しかシフト動作が出来ませんでした。

アキュムレーターを新しいものに交換した結果がこちら

一度のシフト操作での油圧低下が明らかに少なくなっています。

50から40barに低下するまでに4回動作できるようになりました。
※リバースは他のギアに比べシフトストロークが大きく多くの油圧を使用しますので油圧の変化を比較しやすいのです。

最後に不具合を起こしたアキュムレーターを分解したものがこちら

 

ダイヤフラムが一部剥離しています。

ゴムのダイヤフラムがここまで劣化していれば窒素ガスも抜けてしまっても不思議ではありませんし、ダイヤフラムもゴムのため柔軟性を失うのかもしれません。

どれくらい使ったらだめになって交換が必要かは個体差も大きいので一概には言えませんが、先ほどのような症状が出たり酷い場合は走行中にニュートラルになってしまうこともありますので症状が当てはまる場合はアキュムレーターを疑ってもよいかも知れません。

 

 

 

 

栃木県宇都宮市の整備工場月〜金 9:00 - 18:00 , 土・第2日曜 10:00 - 18:00

MASUTAKAブログ最新情報

アウディA6オールロード(C7) エアサスペンション連続故障

アウディA6 オールロード(C7) 長時間駐車後、後輪の車高が左右で違い車体が傾いているとの事。 エンジンを掛ければ車高はそれぞれ安定します。 この車両はエアサスペンションのため空気の圧力でベローズを膨らませてバネの代わりにしています。 後輪のベローズがスローパンクしているため空気バネが保持できず、少しづつ空気が抜けて車高が下がったことが原因です。 ベローズはこのような形をしていて簡単に言うと風船のようなものです。 いつものようにベローズを交換したのち姿勢変化が起きないことを確認して作業終了です。 同様の ...

続きを見る

マツダ ボンゴ バン(SLP2V)エアコン効かない

マツダ ボンゴ(SLP2V) エアコン(冷房)が効かず、エアコンスイッチを入れるとカチンカチンという音がするとの事。 まずは問診をします。 ・エアコンガスは他店で調整してもらったが症状は変わらず。 ・高速道路など一定速である程度速度が高いと冷たい風が出る。 上記の状態であるとのこと。 点検を始めます。 ガスは他店で調整しているとの事なのでひとまず信用してコンプレッサーの作動状態を確認します。 するとマグネットクラッチはオンして繋がりますがすぐに切れてしまいます。しばらくするとまた入りますが止まってしまいま ...

続きを見る

VW トゥーラン フューエルリッドが開かない

VW トゥーラン ガソリンスタンドでフューエルリッドが開かず給油が出来ないとのご連絡。 ガソリンは少ないながらも当店まで来られるレベルなので自走でご来店いただきました。 他の車両でも紹介したフューエルリッドアクチュエーターの故障で給油口が開かない故障です。 故障事例 リンク 燃料給油がギリギリ状態ですと非常に焦る不具合で今回も給油警告灯が点いた状態でした。 不具合発生初期は開いたり開かなかったりしたり、アクチュエーター付近に衝撃を与えると開いたりしますが今回は完全に開かなくなっていました。 何とかフューエ ...

続きを見る

VWニュービートル メーター動作不安定

VW ニュービートル メーターの動作が何かおかしいとのこと。 ・サイドブレーキランプが勝手につく時がある。(サイドブレーキはしっかり戻しているしブレーキフルード量も適正) ・エンジン回転計・スピードメーターの針が暴れたり動かなくなったりする時がある。 上記状態で入庫 メーターの針も動かないときがありますがなぜかヘッドライトを点灯(イルミネーション点灯)すると正常に作動するという不思議な症状が出ていました。 当店ですぐに入庫できなかったためしばらく乗っていただいている間に症状は悪化して最終的に全てのメーター ...

続きを見る

進化とともに変わりゆく故障内容と負担増

ニッサン ノート eーpower(E13) エアコン(冷房)が効かないとの事 こちらのお車、新車で購入してまだ3年経過していませんが、工業製品である以上新しいとはいえ壊れるものは壊れますので点検を進めます。   エアコンの基本点検である冷媒ガスなどがしっかり入っているなど点検をして、診断機を使用して故障コードを読み出すと電動エアコンコンプレッサーに関するエラーを検出しました。 ただこの車両は新車で購入しており一般保証の"3年もしくは5万㎞という保証期間内"なのでディーラーで保証整備を受けれるように手はずを ...

続きを見る

Jeep ラングラー(JK) リヤブレーキ引きずり

Jeep ラングラー(JK) 後輪ブレーキが引きずっていると思うとのこと。 なぜ引きずっていると思われたのかお聞きするとブレーキがキーキー鳴る時がありその時はクリープでも進まない感じがするとのことですが常になるわけではないそうです。 他店にて点検してもらったが”症状が出ていないとわからず症状が出ている時に来てほしい”と言われたそうで、当店での入庫時も車輪を回しても強い引きずりはありませんでしたがブレーキローターを見ると明らかに熱が入った赤さびが出ていました。 症状としては起きていませんでしたが引きずった形 ...

続きを見る

クライスラー イプシロン(312)エアコンコンプレッサー圧縮不良

クライスラー イプシロン(312)ご入庫 エアコン(冷房)が効かないとの事。 入庫時は効きが甘いとはいえ冷風は少しは出ていますのでエンジンルームを確認するとコンプレッサーは回っています。 初めに冷媒システムの基本であるガス量の確認から行っていきます。 この車両は500g±40gが規定量ですが80gしか回収できませんでした。 冷媒ガスが完全に足りない状態です、これでは当然冷房は効かないのは当然なので規定のガス量に充填して点検を進めます。 しかし、規定のガス量を入れても冷風はあまり出てきませんので、規定のガス ...

続きを見る

BMW X3(F25)エンスト

BMW X3(F25) 走行中突然エンジンが止まってしまいクランキングし直してもエンジンが掛からないとのご連絡 クランキングは勢いよく出来るようなのでバッテリーなどには問題なさそうです。 電話でいろいろ指示して試しましたが掛からないようなのでレスキューを手配することになりました。 しばらくして積載車で運ばれてきましたが、その時には正常にエンジンが掛かるようになっていました。 診断機で故障コードを読み出してみると ・11A002 高圧燃料妥当性:圧力が低すぎる ・481B01 制御電圧EPKSが低すぎます ...

続きを見る

トヨタ ランドクルーザープラド(KZJ78)発進加速不良

トヨタ ランドクルーザープラド(KZJ78)のご入庫 発進がもっさりしていて進まない感じがするとの事。 こちらのお車オートマチック車両でミッションのトラブルなのかエンジンの出力の問題なのかお電話ではわからないので自走可能との事で乗ってきていただきました。 入庫時、確かにDレンジで発進すると進みが悪い感じがしますがLレンジで発進するとちゃんと進みます。 どうやら2速発進してしまっているために加速がもっさり感じたようです。 しばらくテストしているとオーバードライブランプが点滅し始めました。 このランプはオーバ ...

続きを見る

8月の休業日 お知らせ

8月の休業日は、10日(日曜日)から17日(日曜日)及び3・24日・31日(日曜日)は休業させて頂きます。

続きを見る

-故障修理・整備, セレスピード・デュアロジック, フィアット

© 2025 増高自動車工業有限会社