スバル レガシィ(BN9)車検でのご入庫
初回車検(3年)で走行距離4.7万kmです、油脂類のメンテナンスをメインに行います。
最近のスバルのメンテナンスサイクルはこのようになっています。
駆動系のミッション/ディファレンシャルの油脂類の交換サイクルが40000kmごとになっていますね。
メーカーサイドがこのように指定するのは整備をする側としては好感がもてます。
それは、よく議論になっているミッションフルード(AT・CVT)の無交換というメーカーの指示が大変ユーザーを混乱させているからです。
新車から4万km代のオイル/フルードがどのようになっているか見てみましょう。
初めに、ディファレンシャルオイル(デフオイル)です、こちらの車は4WD(AWD)ですので前後にデフがあります。
後側デフです。
抜いたオイルに透明度は全くありません、この濁りはデフの歯車同士が擦れた鉄粉です!
次に前側のデフ
こちらも真っ黒ですね。
磁石のついたドレンプラグも鉄粉が多量に付着しています。
最後にトランスミッションのCVTFです。
抜いたフルードはご覧のとおりです、もちろん新品は透明な状態です。
スバル リニアトロニックフルードに適合が取れているNUTEC ZZ52フルードを充てんしました。
このように、僅か4万km代でもオイル・フルードを抜いてみればどれだけ汚れているかお分かりになったはずです。
デフのような歯車を潤滑する場合、鉄粉は必ず出ますが汚れたオイルに含まれる鉄粉がさらに研磨材の役目になってしまう為、鉄粉を捨て去る意味でも定期的な交換が必須なのです。
ATやCVTの場合、デフよりもさらに過酷な状態にさらされます。
それは、単なる潤滑目的のオイルとしてだけでなく、油圧を利用した作動や動力伝達を行う為のフルードとして役割も担わなければならないからです。
さらに、昨今の車両はどの自動車メーカでも低燃費を求められ、フリクションロスを減らす目的でフルード自体を今まで以上に柔らかくサラサラにしています。
粘度が低ければサラサラなフルードとなるのですが、フルードが劣化していくとその粘度がさらに低下してしまうのです。
そこで、粘度低下ををいかにしにくくするか、初期の性能を維持できるかなどというせん断安定性と呼ばれる性能をオイルには高次元で求められるようになってきています。
フルード交換は、単に汚れたフルードを交換するというだけでなく、低下した粘度を新油と入れ直して回復させるという非常に重要なメンテナンスになるのです。
電子的な不具合は防ぐことは難しいのですが、機械的な故障や摩耗(歯車やクラッチなど)は、油脂類の交換でかなり防ぐことが出来ます。
メーカーもフルードの負担増を考えてメンテナンス期間を考え直してきたのではないでしょうか?