突然ですがタイヤのお話です。
タイヤは唯一地面に接している重要な部品ですが、普段はタイヤの状態次第で安全に大きく左右しているということはあまり皆さん意識なさっている方が少ないようです。
道路運送車両法という公道を走る車両に対する法律があるのですが、タイヤに関するルールはこのようになっています。(車検というのはこの法律に適合しているかを検査する行為です)
(1)自動車の積車状態における軸重を当該軸重に係る輪数で除した値であるタ イヤに加わる荷重は、当該タイヤの負荷能力以下であること。
(2)接地部は滑り止めを施したものであり、滑り止めの溝(最高速度 40km/h未 満の自動車、最高速度40km/h未満の自動車に牽引される被牽引自動車、大 型特殊自動車及び大型特殊自動車に牽引される被牽引自動車に備えるもの を除く。)は、タイヤの接地部の全幅(ラグ型タイヤにあっては、タイヤの 接地部の中心線にそれぞれ全幅の4分の1)にわたり滑り止めのために施さ れている凹部(サイピング、プラットフォーム及びウエア・インジケータ の部分を除く。)のいずれの部分においても1.6mm(二輪自動車及び側車付 二輪自動車に備えるものにあっては、0.8mm)以上の深さを有すること。こ の場合において、滑り止めの溝の深さについての判定は、ウエア・インジ ケータにより判定しても差し支えない。
(3)亀裂、コード層の露出等著しい破損のないものであること。
(4)タイヤの空気圧が適正であること。 かじ取装置 第 169条 自動車のかじ取装置の強度、操作性能等に関し、保安基準第 11 条第 1 項の告
法律なのでなにやら小難しいことが書いてありますが、要は 溝が1.6mm以上あって空気もちゃんと入れて亀裂なども著しくない状態で走らせないとだめですよ、ということを示しています。
逆に言えば溝が1.6mmでも法律違反ではないということです。
しかし問題は、法律を守っていれば安全に走行できるという意味ではないということなのです。
元々タイヤの溝は、新品で8mm前後あります、1.6mmということは1/4も残っていないことになります。
では、そもそも溝が無いと何がいけないのでしょうか?
その差は雨の日に歴然と出ます、機会があれば新品の状態と半分くらいに減った状態で安全なところでいつもより強くブレーキを掛けてみてください。(こんなに踏み込んだことないと思うくらいに)
制動距離が全然違うことがわかると思います。
よくこんなことを言われることがあります。”自分は事故を起こさないから大丈夫” ”ぶつけられることはあってもぶつけることはないと思う” 何を根拠に言われているのかわかりませんが事故や故障に100%合わない人はいません。
むしろ急制動をしたことがあるという人のほうが多いのではないでしょうか?その急制動の時に大きな差が出てしまうことが危険なのです。
最近このようなお客様が見えました。
”ガソリンスタンドでタイヤ交換しなきゃダメだって言われたんだけどどうですか?”
・・・
溝が無いのはおろか、中のワイヤーまで出てきてしまっています!!
法律違反なんて次元以前に、凶器を乗り回しているようなものです。すぐにでも交換しなければいけません。
ここまでくると制動時の危険もありますが、走行中のタイヤの破裂(バースト)がいつ起きても不思議はありません。
スピードの高い時に、バーストした場合車両を制御できるのでしょうか?そのとき周りの人を巻き込まないという確証はあるのでしょうか?
本来の性能が維持出来るのは、タイヤ溝が新品の半分くらいまでの量と言われていますし、こんな状態で車の管理をしていないことが自体言語道断です。
タイヤはどんな車両でも金額の張るものですが、事故や故障はもっと高くつきます。
このようなお客様は、タイヤ交換は高いからもったいないと言うことがほとんどなのですが、目先のことばかりでなくトータルでみればそんなことはないと思います、実際痛い目にあったことのある方は、自動車に対する維持・管理の仕方をかなり重要視するようになります。
二度とあんな思いしたくないから、よく見てなんて言われることも多いんです。
何度もブログでお話ししていますが、法律は最低ラインを提示しているだけで本当の安全ラインを義務づけているわけではないので、車検に通ったからとか事故にあったことがないからなんて、事が起こってしまったら何の言い訳にもならないのです。
現在の車は性能が上がったことで、平均スピードの速度域が上がっています、それだけ危険も増えていると考えてよいでしょう。
自動ブレーキが付こうと自動運転になろうと、自動車には消耗部品がたくさんありユーザーはそれを管理をする義務はなくならないということを肝に銘じて乗ってもらいたいものです。
タイヤの溝の深さ・空気圧・亀裂などの劣化はある程度ユーザーでわかると思いますし、全く自動車に疎いという方でしたらプロに定期的に診てもらうようにしてください。
すべては安全のために・・・