ホンダ S2000のご入庫
ご用命は、”NUTECのpower up program”です。
まず、吸気系統の洗浄を行います。この工程はWAKO'SのRECSと同様ですがスロットルバルブより上流から洗浄を行えることが利点です。
※RECSはインテーク負圧を利用するためスロットルバルブより下流から吸い込ませます、よってスロットルバルブの洗浄は出来ません。
次に、フォーム状の洗浄液を燃焼室に噴射して1時間ほど浸け置き洗浄を行います。
※浸け置く必要があるためシリンダーが横を向いている水平対向エンジンや構造上ロータリーエンジンでは施工できません。
この工程で燃えカスで汚れた燃焼室やピストンリングの汚れを落とします。
1時間後シリンダーから洗浄液を吸い出してみると、これだけの汚れが燃焼室から取り出されました。
燃焼室のピストントップをスコープで見てみますと。
施工前
施工後
画質が悪く分かり辛いですが、ピストンのアルミの地金が見えるようになっています。
次に一度エンジンを掛けて内部に残った汚れを排出するのと燃焼室の温度を上げてコーティングの準備を行います
再度、スパークプラグを外してシリンダーにコーティング液注入します。
この工程では、目に見えないほどのシリンダーの傷をコーティングで埋めて表面をなだらかにします。
※コーティングの効果は2万kmほど続くそうです。
プログラム開始前後での圧縮圧力の変化です。
圧縮圧力測定結果
施工前 1:16.2 2:15.5 3:17.0 4:16.5
施工後 1:16.5 2:16.8 3:17.5 4:17.2
(kpax100)
圧縮が上がったと同時に4気筒の差が少なくなりました。
圧縮はピストンリングの状態にかなり影響されるのでリングの汚れをおとしたことと、コーティングの効果が出たのでしょう。
浸け置きの際、汚れが落ちて混ざったエンジンオイルの交換。
燃料に洗浄剤を添加
※WAKO'S フューエルワンと同様で燃料ラインの洗浄・保護を行う目的です。
パワーアッププログラムの工程を紹介しましたが、エンジンに対して総合的に洗浄後、コーティングを行うことで継続的に良い状態を保つものであることがお分かりになったかと思います
エンジン内部は、燃料を燃やすため必ず汚れてしまいます、汚れは性能を低下させます、性能低下はさらに汚れを助長させるといった負の連鎖が起きるため、通常ではエンジンオイル交換などでメンテナンスを行います。
しかし、エンジンオイル交換では潤滑系統部分の限定的なメンテナンスとなってしまう為、吸気系統や燃焼室などの汚れは堆積してしまいます。
従来ではそのような部分の洗浄はエンジンを分解しなければ行うことは出来ないものでしたが、今回ご紹介したプラグラムではかなり効率よく洗浄を行うことが出来ますので、エンジンの大きな分解を行わないで行うことが出来るメンテナンスとしては最強と言えると思います。
エンジンのオーバーホールはかなり大掛かりなことになりますが、その手前の状態ではこのプログラムが最強と思われます。