不良個所の整備内容をご紹介します。
まずは引きずっていた前ブレーキの状態です。
引きずってブレーキが掛かりっぱなしになっていたブレーキパッドは残りわずかしかありません。
ディスクローターが明らかに引きずりにより発熱した形跡があります。
ブレーキキャリパーのピストンはご覧の通り
ここまで錆びればピストンの動きが悪いのは当然です。
ダストブーツに破れがありましたのでここから水が浸入して錆びたのでしょう。
次にスタビライザーリンクのボールジョイントは劣化で破けています。
ずいぶん前から破れていたのでしょうボールジョイントは錆びてガタも出てしまっていました。
最悪は脱臼します。
どちらも完全に保安基準に適合しない状態ですが、法律うんぬん以前に非常に危険な状態です。
次に保安基準に規定がないものですが吹き出し口からのエアコンの風が弱いのが気になりました。
ブロアファンモーターは勢いよく回っている音がするのでが、吹き出し口からの風が弱いのです。
そのような場合の原因はこちらです。
エアコンフィルターですがビッチリほこりが詰まって風が出てこなかったのです。
保安基準とは関係ないとはいえ自動車の性能としては落ちますし、風が出てこない分風量を強くしてしまうのでブロアファンの寿命を縮めます。
故障とは言えませんが明らかにメンテナンス不良と言えます。
基本的に1年に一度交換して頂きたいところです。
このような重大な故障があったとしても車検を通していた訳で、タイヤの緩みが無ければユーザーは気が付かず”車検を合格している”と安心して乗り続けていたのです。
こちらのお客様だけがこのような状態であったとは考えづらいです。
我々整備業は故障を未然に防いだり、壊れたものを修理することが本来の仕事なのですが、定期的に訪れて強制的に受けることが義務付けられている車検というものが手っ取り早く安定した収益を得ることが出来る、薄利多売を生業にする業者からすると良い金づるの仕事ともいえるのです。
このような業者や整備士を横行させる業界にも問題は有りますが、凶器にもなりうる自動車にメンテナンスなどにあまりにも気に掛けなさすぎるユーザーも多く、そのような人々が喜んで格安業者を利用することも業者をはびこらせる要因なのではないでしょうか?