トランスミッションの単体での修理を承りました。
これは、アルファロメオSUD(スッド)と呼ばれる80年代の車両に使われていたトランスミッションです。
オーナー様、このミッションをオールドレーシングカーのレプリカに使用していたのですがオイル漏れが激しく当店に修理をご依頼されました。
この時代のアルファロメオは日本国内には残存数が少ないことから、修理を行う修理業者や部品の流通もほとんどないような状態になってしまっています。
今回、インプットシャフト廻りが傷んでしまっていたためそこをメインに修理を行いました。
通常インプットシャフトはベアリングで支えていることが多いのですが、この時代以前のアルファロメオはブッシュを使って支えていました。写真のようにブッシュはバラバラに砕けてしまっていたためインプットシャフトが支えられず芯がぶれてオイル漏れが発生していました。
他の部分も芯ブレによるガタが出てしまった部品は交換します。
クラッチのレリーズベアリングが摺動するスリーブも酷く偏摩耗してしまっていましたので交換です。
新品部品が出ないところは中古の程度の良いものをヨーロッパのショップで探してもらい取り付けました。
メインのギア部分に関しては、シンクロの調子も悪くはないのでそのままにすることになりました。
自動車のメカニカルに詳しい方は、このミッションを見て何か違うことにお気づきかと思います。
そうですミッション本体に、ブレーキシステムが組み付けられているのです。
インボードディスクブレーキタイプと呼ばれるもので、ブレーキシステム自体をミッション(車両中心側)に取り付けることで、車輪側にブレーキシステムをつける必要がなくなることで車輪のバネ下荷重を軽くする効果があります。
このシステムは、通常走行性能を極限まで求められるレーシングカーに採用されることがほとんどで、量産市販車でこのシステムのブレーキを採用しているのはほとんどありません。
ですのでお客様のレーシングレプリカにもこのミッションが取り付けられていたのだと思います。
ここまで分解しましたので、ついでにキャリパーもオーバーホールをすることに、しかし・・・
キャリパー自体が割れているではないですか!
ピストンが錆で固着した状態で油圧が掛かり、耐えきれなくなったケースが割れてしまいました。
当然このピストンは動いていないのでブレーキは効いていなかったはずです。
中古のキャリパーも海外で探してもらい事なきを得ました。
もう片方の正常なキャリパーも分解してオーバーホールします。
海外とのやり取りでかなりお時間が掛かってしまった修理ですが、このような場合でもなんとかなることはまだまだあります。
お車のことでお悩みの方、まずはご相談してください。
何かお役に立てることがあるかもしれません。