トヨタ ランドクルーザープラド(KZJ78)のご入庫
発進がもっさりしていて進まない感じがするとの事。
こちらのお車オートマチック車両でミッションのトラブルなのかエンジンの出力の問題なのかお電話ではわからないので自走可能との事で乗ってきていただきました。
入庫時、確かにDレンジで発進すると進みが悪い感じがしますがLレンジで発進するとちゃんと進みます。
どうやら2速発進してしまっているために加速がもっさり感じたようです。
しばらくテストしているとオーバードライブランプが点滅し始めました。
このランプはオーバードライブのON/OFFを知らせるランプですがトランスミッションの警告灯も兼ねています。
何か故障コードを検出していると思い、コードを読み出そうとしているとランプの警告は収まってしまい故障コードも読み出せなくなってしまいました。
しかし、不具合発生時の状況判断でトランスミッションに何かしらの不具合が発生していることは間違いなさそうです。
この時代のオートマチック車両は現代車ほどではありませんが電子制御化されていますので、コンピューターか内部のソレノイドのどちらかに不具合が起きることがほとんどです。
テスト走行などを繰り返して不具合症状の再現を行おうと試みましたがその後も不具合が再現しないためお客様と相談してコンピューターはリフレッシュ整備を行い、ミッション内部は使用しているソレノイドバルブをすべて交換することにしました。
コンピューターはエンジンコンピューターと一体型でコンデンサーの電解液漏れなどの不具合が多い時代なので修理業者にリフレッシュ整備を依頼しました。
コンピューター自体にはこれといった不具合は確認できませんでしたが予防という意味でコンデンサーを交換していただきました。
次にトランスミッションはオイルパンを外してソレノイドバルブにアクセスします。
配線が繋がっているところがソレノイドバルブ
ソレノイドバルブとは電磁コイルで弁を開け閉めする部品でその弁の開閉で油路を切り替えてトランスミッションの変速を行います。
3個ソレノイドバルブが使用されていますがそのうちの一つのコイル抵抗値だけ大きくずれていましたので、これがおそらく不具合の原因だったと思われます。
コイルの抵抗値は温度などにも影響を受けますので、正常に作動する時と出来ない時がギリギリのラインだったのでしょう、交換後しばらくユーザーに乗っていただいた後も不具合の再発は起きなくなりました。
ここまでアクセスしていますのでストレーナーの交換とATFの交換もメンテナンスの一環としてしっかり行います。
この時代は故障コードのメモリー機能があまりなくメーカーでも機能に大きな差がありました。
せめて故障コードが読み出せているとピンポイントで不具合箇所を攻めていくことが出来るのですが再現性の低い故障ではこのようなことも起きてしまいます。
一度で修理を済ませるためにも同一箇所にあるような部品は価格によってはすべて交換してしまったほうが良いです。