サンバー トラック(KT2)
車検整備の際、点火ポイントの交換依頼を受けました。
EK23 550ccの2気筒エンジンになります。
エンジン後端にこのような部品がありますが一般的にはディストリビューターと呼ばれる火花を分配するものにポイントは組み込まれるのですが、このエンジンは2気筒同時点火のためで分配する必要がないためでディストリビューターという呼び名ではないこのような形になっています。
イグニッションコイルから直接2本ケーブルが出て2気筒に同時に火花(電気)を送ります。
エンジンに付けたままでも交換できますが点検もかねて取り外します。
ポイントとは点火装置の部品の一つで、ポイントのオン・オフでイグニッションコイルに流れる電気をコントロールすることでスパークプラグでの火花を飛ばすための重要な働きをするものです。
ポイントには電気が流れるため使用するうちにスパークでポイントが焼損してしまったり、ヒールと呼ばれるポイントの付くアームを押し上げる部分の摩耗などが起きるので定期的な点検と調整が必要な部分となります。
ポイントを外す際、ポイントが外された台座に何かが残りますのでこの部分も点検が必要になります。
負圧をダイヤフラムにかけるとこのようにポイントの台座プレートが動きます。
これは台座自体をずらすことで点火時期をコントロールするための装置で負圧に応じて動きます。しかしダイヤフラムが破けたりしているとこの機能がうまく働かない状態もあるためこのような点検をする必要があります。
他にもガバナ進角などもあるので外して点検した際は動きを確認します。
新しいポイントを取付けて最後に点火タイミングを調整やドエルアングルの測定を行います。
ポイントをいじれば必ず点火時期が変わりますので調整する必要がありますのでセットの作業になりますし、ポイントギャップの調整はドエルアングルとして現れるのでしっかり調整できているか確認の意味でも測定が必要になります。
エンジンが回転している状態ではポイントはこのように作動しています。
このポイントの開閉に合わせてイグニッションコイルでは高電圧を発生させてスパークプラグでスパークさせます。
このポイントシステムもこの後にセミトラからフルトラへと変貌して消滅し、現在はダイレクトイグニッションシステムのためディストリビューター自体も消滅しました。
当時の車検や修理では非常に一般的な整備だったのですがシステム自体がほとんど残っていないため整備をする側も触れる機会が無くなってしまったメンテナンスといえます。
定期的に手を掛けなければいけない部分でしたがここを整備することで調子が大きく変化することも多かったので整備する側としては手を掛けたという感覚が大きかった気がしますが、現代の車両ではコンピューターですべて緻密なコントロールが出来ることはよいことなのですが何か物足りないような気がします。