ニッサン パオ
チャージランプが点灯しているとのご連絡。
チャージランプとはバッテリーの形をした警告ランプのことで、”バッテリーが悪くなると点灯する”ものと勘違いされていることが多いのですが充電系統の異常を知らせるランプとなります。
多くの場合、オルタネーターで発電が出来なくなると点灯することが多いため、充電出来なくなってバッテリーに溜まっている電気だけで走っていることが考えられるので電装品をなるべく使用しないようにして来てもらうようにお願いしました。
入庫して確かにチャージランプは点灯していますが、バッテリー電圧を点検すると14ボルト台で特に減っていません。
次にオルタネーターのA端子を測定しますがやはりこちらも14ボルト台のため充電はうまくいっているようです。
※ニッサンの回路図ではA端子ですが一般的にバッテリー端子(B端子)と呼ばれます。
それでもチャージランプはアイドリング時にぼんやり点灯しています、エンジン回転を上げるとチャージランプの明かりは強く点灯します。
なにか変です。
発電不良であればアイドリング回転が低く発生電気の量が少ない時はぼんやり点灯して、エンジン回転を上げると少なからず発生電気も上がりランプの明かりは弱くなるのが一般的ですがどうも逆なのが気になります。
そこでチャージランプの点灯をつかさどるL端子を測定してみます。
するとこの端子だけが16ボルト台とかなり過剰に電圧が発生しているのがわかりました。
これではチャージランプ回路を電気が逆向きに流れてランプが点灯してしまいます。
回路はこのようになっています。
チャージランプの回路を簡単に示すとこのようになっています。
正常に作動しているときは、エンジン回転中にオルタネーターで発電されるとA端子の電圧とL端子の電圧が均等(同電位)になるためチャージランプには電気が流れず消灯します。
オルタネーターが壊れて発電していない場合、バッテリー電圧が高くL端子方向に電気が流れるためチャージランプが点灯します。
点灯することで充電系統の異常を知らせます。
今回の場合はL端子に過剰な電圧が発生したことでL端子からバッテリー側に逆に電気が流れてチャージランプを点灯させたわけです。
A(B)端子では正常な充電電圧が発生していたため実際にはバッテリー上がりを起こさなかったというわけです。
ともあれL端子の過大な電圧は危険で故障は故障ですのでリビルトのオルタネーターに交換します。
交換後は正常にランプは点灯するのは当然ですが充電電圧も正常にコントロールされるようになりました。
この時代の充電制御やランプの点灯制御は非常にシンプルなものなのですが年数の経過でオルタネーター内部にあるレギュレーター回路に故障をきたした事例と言えます。