クライスラー イプシロン(312)のご入庫
ゆっくり加速しているときは問題ないが、少し強めに加速をすると息つきのようにガクガクするとのこと。
こちらのエンジンはフィアットのツインエアと呼ばれる2気筒ターボエンジンなります。
アクセル開度を少なめな低負荷時には何も違和感は感じませんが少し強く踏み込んで負荷を上げるとエンジンがクシュンクシュンと息継ぎのような症状が起き加速不良で車体もガクガクします。
その時にエンジンチェックランプも点灯します。
診断機で故障コードを読み出すとイグニッション(火花)故障を検出しています。
ガソリンエンジンが回るための3要素 燃料・圧縮・火花がありますが火花を点検します。
新品と比べると電極が摩耗してしまっているためエアギャップ(電極間のすき間)が広がっているのがわかります。
このすき間を電気が飛び越えるときのスパークを利用して着火するようになっていて、小さなカミナリのようなものとイメージしてもらえばよいと思います。
新しいスパークプラグを取り付けると不具合症状は解消しました。
ではなぜ加速時のような高負荷時のみ症状が現れたのでしょうか?
ガソリンエンジンでは圧縮した空気に燃料を噴射して混合気を作りそこにスパークプラグで点火して爆発させるのですが(直噴エンジンの場合)、燃焼室の環境は負荷などの条件で一定ではありません。
加速中の高負荷時ではターボチャージャーで加給した高圧縮された空気と増量したガソリンの混合気が燃焼室にいる非常に火花が飛びづらい環境になります。
その飛びづらい環境下で着火させる火花は大きな力が必要になるためすり減ったスパークプラグでは広がったエアギャップを火花が瞬間的に飛ぶことが出来ずに失火を起こしてしまいミスファイヤーの症状として現れます。
正常なプラグではこのような環境下でも点火できるように設計されてます。
そこで先ほど話したガソリンエンジンを回すための3要素の燃料・圧縮・火花にはもう一つ大切なものがあるのです、それが”良い”という条件になります。
今回のような症状は一定の条件下でしか起きないため一見すると火花は正常と思ってしまいますが、”良い”火花ではないので低負荷時は問題のないように見えても高負荷時では不具合症状が現れるのです。
低排気量の気筒数が少ないエンジンはスパークプラグの摩耗が早いので軽自動車でも同様の不具合が起きることが多々ありますので、交換サイクルを見落とさないようにすることが大切です。
今回の車両は5万㎞台での不具合発生でしたが2気筒のこのエンジンは、当店では2~3万㎞毎でのお取替えを推奨しています。