BMW135のご入庫
メーター内の警告灯が複数同時に点灯してマルチインフォメーションもパンク警告が点灯したとの事。
診断機をつなぎ車両が何の故障を訴えてきているか読み出します。
左後輪のホイールセンサー故障を訴えてきています。
スピードセンサーの出力を確認すると左後輪のスピードセンサー(青線)の検出が出来てないことが確認できました。
スピードセンサーはこのような部品で交換します。
先端はこのような形をしていてドライブシャフトの回転を読み取っています。
取付面はこのような穴に取り付けられますがわずかな取付面の錆などによってエアギャップが変わり読み取れなくなることもあるのできれいにして取り付けます。
取付面の錆による故障例 リンク
交換後は4輪とも回転信号がリンクして出力されるようになりました。4本のカラー線がシンクロしています。
なぜ左後輪のスピードセンサーの故障だけでこれだけの数の警告灯が点灯するのでしょうか?
それはESCやABS・TCSなど走行安定性能にかかわるシステムの根幹ともいえるセンサーのひとつがスピードセンサー(車輪速センサー)だからです。
走る・曲がる・止まるという自動車の三要素を制御するシステムでそれぞれが下記のように分かれています。
走る :TCS(トラクション コントロール システム)
曲がる:ESC(エレクロニック スタビリティ コントロール)
止まる:ABS(アンチ ロック ブレーキシステム)
このように3種類のシステムがそれぞれ連携しあってスリップなどの車両の挙動が乱れた際、瞬時に制御が介入して姿勢を立て直すようにしています。
このシステムの最も大事なセンサーがスピードセンサーで常に4輪の回転数を読み取っているのです。
そのためESCやABSの警告灯はもとより、TCSのようにエンジン出力の制御にかかわるものも連携するのでエンジンチェックランプも点灯します。
あまりにも多くの警告灯が点灯するためびっくりするのですが実は根幹の一つのセンサー不良が原因であったりするわけです。
その他にもタイヤの回転数をもとにモニターしているものでパンク警報システムがあります。
パンクするとタイヤの外径が変わるためタイヤ回転数も変わるのですが、その回転数の変化をパンクとして認識するシステムのため今回のような場合でも当然警告が出てしまうのです。
現代の車両にスピードセンサーは不可欠なものですが基本の作りはどのメーカーでも同じですので同様の故障は比較的メジャーなものとなります。