FIAT PANDAⅢ 4X4(312)のご入庫
ようやく見つけた4X4パンダのマニュアル車を購入したオーナー、どうも車体の振動が気になり当店にご来店されました。
3000回転以上になると振動が大きくなり変速段数によって振動が変わるとのこと。
確かにアイドリング時のエンジンから伝わる振動が大きい気がします。
しかし、走行距離12万㎞を超えておりエンジンマウント等の劣化も考えられるので、プロペラシャフトのアライメントを見るとどうもエンジン側が異常に下がっています。
エンジンマウントが下がりプロペラシャフトのアライメントが狂っているので振動が出るのではないかとも思われましたがこのパンダにはもっと恐ろしい爆弾が潜んでいます。
以前にも紹介したことがありますクラッチの取りつくフライホイールの破損です。故障事例リンク
フライホイールが破損するとエンジン回転がアンバランスになり振動が大きくなります。
アイドリングの振動も大きいので、こちらの可能性のほうが大きい気がします。
そのことを説明してクラッチオーバーホールとエンジンマウント一式の交換をすることになりました。
クラッチオーバーホールのためトランスミッションを取り外すと案の定デュアルマスフライホイール(DMF)の芯は破損してずれ破損していました。
ミッション側を点検するとスレイブシリンダーのガイドパイプが削れてしまっています。
トランスミッションのベルハウジングも交換しなくてはならない最悪の状態です。
以前紹介した同様の故障事例はFFモデルでした。
今回の車両は4X4の4輪駆動車でFFモデルとはベルハウジング部が少し変わります、部品商に見積を取ってみるとFFモデルの10倍に近い見積回答が来ました。
驚きですがお客様の承諾を得て部品を取り寄せて理由がわかりました。
トランスファーまで一緒に付いてきているのです!
どうりで高額なわけですが仕方がありません、ミッションを分解して交換します。
新しいフライホイールとクラッチキット、レバー関係をすべて交換します。
エンジンマウントも全数交換したことでエンジンの位置が上に戻ったためプロペラシャフトの曲がりも抑えられたように見えます。
作業終了後はエンジン振動も抑えられましたし、加速時の振動もなくなりました。
3世代目のパンダ(312)にはデュアルマスフライホイールがデュアロジック・マニュアル・2/4駆問わず採用されていますのでエンジン振動が異常に大きく車体に響く場合などはこのような不具合を起こしている可能性がありますのでご注意ください。