FIAT500のご入庫
デュアロジックの警告灯が点灯して進まなくなったとの事。
何とか走れるとの事で自走でご来店しました。
故障コードを読み出すとやはりデュアロジック関係の不具合を検出しています。
不具合発生時の状況を問診していくと、私が思うデュアロジックの症状とマッチしない感じがしました。
車両の状態を確認して動かそうとするとブレーキペダルの踏み応えに違和感を感じました、また発進しようとしてもブレーキが効いてしまっているようで進みません。
お客様にもう一度発生状況を聞くとやはりブレーキペダルが変な感じがして強くペダルを踏み込んだ時にバキッと音がしたと同時にブレーキの感じが元に戻り自走できるようになったそうです。しかしまた元に戻ったとの事。
お話を伺って、てっきりデュアロジック不具合でギアが入らず進まないと思っていたのですがどうやらブレーキに何か起きてブレーキが効きっぱなしになり進まなくなっているようです。
ブレーキの故障はかなり重大故障になるので大変危険です。
点検を開始します。
まずブレーキペダルの踏み応えですがどうも正常な状態と比べストロークが少ない感じがします。
油圧系にエアが噛み込んだようなふわふわ感もありませんし、ブースターも正常に作動しているようです。
何度もブレーキペダルを踏んでいると突然バキッと大きな音が室内で発生しました。音とともにブレーキの踏み応えも正常になりました。
異音の原因を点検するとそれは助手席側にいました。
写真ではわかりずらいのですが左席(助手席足元)にある樹脂カバーにオーディオのコネクターが転がり込んでいました。
この中には実はブレーキペダルからブレーキブースターに踏力を伝えるリンクが入っています。
ブレーキペダルを踏むとこのように作動するのですがむき出しでは危険なので樹脂カバーで覆われています。
そのカバーの中にこのオーディオコネクタが入り挟まってうまくブレーキが作動しなくなりました。
挟まったコネクターのカバーが割れていなくなったため動くようになったのです。
このことをお客様に伝えるとご自身で社外のオーディオを取付た際、純正オーディオにつなぐサービスカプラーとしてあったこのコネクターが垂れさがるためこの樹脂カバーの中に押し込んだかもしれないとの事でした。
右ハンドルのFIAT500はエンジンルーム内のブレーキシステムは左ハンドルと変わりませんが、室内側は右側(運転席)から左側にリンクで伸ばして踏力を伝えるようにしています。
ブレーキが掛かった状態なのに車両は進まないということで車両はエラーと判断してデュアロジック警告灯を点灯させたのです。
DIYで行った作業ですがブレーキシステムにエラーを発生させる危険な事象でした。
ブレーキが効く側での故障で走行不能で済みましたが、逆にブレーキが効かない側の不具合が起こる可能性もあった事象ですので、ご自身でDIYを行う方はご注意下さい