FIAT PANDAⅡのご入庫
パワーステアリングが効かないとの事でお問い合わせでした。
このモデルのパワーステアリングは電動アシストタイプになります。
お客様、遠方からご来店いただき詳しい経緯を聞くことが出来ました。
他店にてパワーステアリングのステアリングセンサーを取り換えてもらったところ勝手にステアリングが回ってしまい乗ることすら出来なくなったとの事。
そこのお店ではパワーステアリングユニット自体が悪いのでユニットごと交換するしかないと言われたそうです。
しかしこの車両ドイツ仕向けの左ハンドルであったため中古品も見つからず仕方なくヨーロッパの修理業者にユニットを送り修理をしてもらおうとしていた寸前で当店の存在に気付いて問い合わせをしたとの事でした。
ステアリングセンサーの交換実績のある当店で治らないか?との希望でした。
外したパワーステアリングユニットをお持ちになり後日ユニットを外した車両は搬入されました。
このような経緯の元で整備に取り掛かります。
この時代の車両は海外では社外品のステアリングセンサーが単体で販売されているのでこの部分の交換は可能で、この部分の交換をしてからおかしくなったとの事。
このセンサーはステアリングセンサーと呼ばれていてどれくらいステアリングシャフトをねじっているか(切っているか)を見るセンサーが内蔵されていて、ステアリングを切る力(トルク)を見ています。
当然どのくらいステアリングが切れているかを見るアングル(角度)センサーも内蔵されています。
センサー交換後にステアリングが勝手に切れてしまうということは、トルクセンサーにどちらかの方向に力が加わった状態で組付けてしまっているために起こる症状です。
ステアリングを操作していなくても、どちらかに切っていると信号が入るためそちら側にモーターがアシストして勝手に回ってしまう訳です。
そもそもこの車両のステアリング修理する理由は何だったのかお聞きしたところ、”パワーステアリングが効かない時がある”という症状でセンサー交換をしたとの事ですので、勝手にステアリングが切れるという症状はステアリングセンサー交換後から出た症状なわけで、このような場合は組み付けになんらかの問題がある可能性があると判断します。
パワーステアリングユニットを車両に取り付けて、センサーを正規の位置に組み付け治したうえで診断機でキャリブレーション(校正)を行ったところ正常にパワーステアリングは作動するようになりました。
やはり組付けのミスが原因だったわけです。
電動パワーステアリングは現代の車両では主流のシステムです。
仕組みは大きく分けてモーター・モーターの電流制御ユニット・センサーこの3点で構成されています。
もちろんモーターが壊れたり、電流制御ユニットが壊れればアシストしなくなりますし、センサー故障の場合もフェイルセーフでアシストを止めてしまうこともあります。
電動パワーステアリングの不具合の多くはアシスト力の低下がほとんどになります。
故障事例① リンク
FIATグループではこの時代のモデルはセンサー交換可能ですがこれ以降は構成部品も手に入らずユニットごとでの交換しかできなくなりました。
今回は、プロに言い渡された診断でかなり振り回されてしまいました。初めの症状と部品交換後に起きている症状が違うことがわかると組み付けに問題があったのではないかと故障探求を進めていれば正解は出せたのですが・・・。
とにかく海外に送る前に踏みとどまったことは正解でした。