VW ザ・ビートル 車検でのご入庫です。
点検を行うとエンジン前方に何か液が垂れた跡がありました。
液が漏れだしたところをたどるとウォーターポンプからでした。
ウォーターポンプから漏れだしているのであれば定番の冷却水漏れです!
ウォーターポンプの交換を行うことになりました。
しかし、ウォーターポンプを取り外していくとその漏れ出していたものが冷却水でないことに気が付きました。
真っ黒なオイル状のものでした。
ウォーターポンプを取り外してその構造を確認してようやく何が漏れ出してきているのか理解することが出来ました。
このウォーターポンプは従来のポンプとは違いバキュームコントロールウォーターポンプです。
こちらの動画をご覧ください。
マイティバックで負圧を掛けると、フィンの周りをリングが覆うのがわかるかと思います。
エンジンの冷えているときだけ負圧を掛けてリングが飛び出してフィンを覆うことでウォーターポンプが冷却水を循環させるのを妨げるようになっています。
エンジンの暖機を促進させるため冷えているときはウォーターポンプを作動させないようにしているわけです。
ウォーターポンプ内部にはリングを動かす仕組みが組み込まれている中でシリコンオイルも封入されているのですが、今回はそのオイルが漏れだしたのです。
冷却水にしろシリコンオイルにしろ漏れ出してよいわけではないのでウォーターポンプの不良に間違いありません。
しかし、冷間時のわずかな時間でもここまで制御を細かく複雑にしなければならないのはヨーロッパには大変厳しい規制があるからだそうです。
機構的に優れたものですがパーツの信頼性に欠けてしまうのは、結果として部品交換が必要になり環境負荷になってしまいますので残念なところです。