ダイハツ コペン(L800)のご入庫
ご用命はクラッチペダルが重くなってクラッチが切れないとのこと。
ご入庫時、異常なほどクラッチペダルが重くうまく操作が出来ない状態でした。
車齢13年・走行距離9万Km代です、クラッチオーバーホールはもとよりワイヤーの交換が必要なことは間違いありません。
トランスミッションを下ろしてクラッチの状態を見てみます。
クラッチディスク自体は溝が深くまだまだ使えそうです。
では何がここまでペダルを重くしたのでしょう。
原因のひとつはこちら、レリーズベアリングの摺動不良です。
このベアリングはガイドとなるパイプを滑って動くのですがグリスが完全に切れて動きが非常に悪くなっていました。
クラッチオーバーホールと呼ばれる作業は、クラッチディスク・クラッチカバー・レリーズベアリングの3点をセットで交換します。
※パイロットベアリングが有るものはそれも含む
いくらクラッチディスクが厚くたくさん残っていても再使用はしません。
それは一つの部品が不具合を招くほど使用したものは他のパーツも同様に傷んでいるからです。
クラッチカバーのレリーズベアリング当たり面ですが摩耗しています。
個々の摩耗が酷くなるとスプリングが均等に押されなくなりジャダーなどを起こしたり最悪折れることもあります。
そして、せっかくトランスミッションを降ろしているのでやっておきたい作業があります。
エンジンの後部のクランクシャフトオイルシールの交換です。
これはエンジンの出力をトランスミッションに伝えるアウトプット部分でオイルシールで気密を保ちます。
オイルシールはゴム製ですのでいつかは劣化して漏れますので交換が必要になります。
しかし、この部分はトランスミッションを降ろさない限り交換できない部分なので、クラッチオーバーホールの際はついでにやっておいたほうが良い交換部位です。
こちらのお車もオイルが漏れだしていましたのでもちろん交換です。
新しいクラッチセットに交換
レリーズベアリングを動かすレバー類も綺麗に清掃してグリスアップします。
この部分が摺動よくスムーズに動けばOKです。
これでクラッチオーバーホールを行い正常に戻るはずですが、車両によってはもう一点注意箇所があります。
それはこちら
クラッチケーブルです。
クラッチペダルからクラッチにつながるペダルでこのワイヤーでクラッチをコントロールします。
酷使されたワイヤーは摺動不良を起こし今回の不具合の原因の一つになります。
実際に新品と比べるとかなり重たくなっていましたし、最悪は切れることもありますので忘れてはいけない部品です。
全ての部品を交換したこの車両のクラッチペダルは見違えるほど軽くなり本来の操作力を取り戻しました。
操作の癖や使用方法やエリアなどでクラッチの寿命は大きく左右されます。
一概にいつ交換すればよいという個所ではありませんが、もしオーバーホールを行うのでしたらそこから何万kmも分解しなくても済むようにしっかりとした整備を行うことをお勧めします。