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故障修理・整備 ランドローバー

ランドローバー フリーランダー 整備不良の末

ランドローバー フリーランダーのご入庫

冷却水が漏れているので診てもらいたいとの事でご来店。

漏れ箇所はエンジン前側付近であることはすぐにわかりましたのでウォーターポンプあたりが怪しいとお客様にお伝えしました。
※ある程度分解を進めないと特定できないためおおよそで説明しました。

すると、半年ほど前にタイミングベルトは他店にて交換済で同時にウォーターポンプも交換しているとの事。

では、ウォーターポンプである可能性は低いので何か周辺部から漏れているのでは?というお話をさせていただきました。

ところが、よくよくお話を聞くとタイミングベルトを交換してからエンジンの振動が酷く、冷却水漏れも気が付いたので交換したお店に相談に行っていたとの事。

しかし、エンジン振動に関してはこのくらいは正常で、冷却水漏れに関しては漏れ止め剤を入れておけばよいと言われたそうですが、納得できないまま途方に暮れ当店にご来店されたといういきさつでした。

 

お話を聞き作業に取り掛かる前にこちらのお車の問題点を整理します。

①エンジンから冷却水が漏れている。
②エンジンの振動が今までより(タイミングベルト交換後から)大きくなった気がする。

この2つの問題点を解消しなければいけません。

 

故障探求を進めながら作業に取り掛かります。

まず、冷却水漏れ箇所を探るために分解を進めていくとウォーターポンプから冷却水が漏れていました。赤い液体は冷却水です。

半年前に新品で交換してあるにもかかわらず漏れているのでこれは製品不良です。

これは新しいウォーターポンプに交換すれば解消します。

 

次に、エンジン振動がタイミングベルトを交換してから大きくなった気がする点ですが、作業にかかる前に診断機で故障コードを検出していないか見たところ”片側のバンクの失火”と”空燃比異常”という故障コードが検出していました。

ひとつの気筒に失火が起きているのではなく複数のシリンダーで起きる場合はイグニッションコイルやインジェクターなどの単体部品の不良は考えづらく別に何か不具合があることがほとんどです。

 

ウォーターポンプにたどり着く前に様々な部品を外すのですが、その際にコネクターが接続されいていないのを発見しました。

もしかしたらこのコネクターを繋げていなかったことが原因で複数シリンダーに不具合が発生したのかもしれません。

仮組をしてエンジンを掛けてみますがやはり振動の大きさは変わりませんでしたので真の原因がありそうですので次に進むことにします。

ちゃんとコネクター外れの不調も車両は教えてくれていましたね・・・

 

次に疑うのはタイミングベルト交換した経緯からタイミングベルトのタイミングずれです。

こちらのエンジンはV型6気筒エンジンで、エンジン前側にクランクシャフトとカムシャフトをつなぐタイミングベルトエンジン後方のエンジンヘッドにツインカムのカムシャフト同士をつなぐベルトがそれぞれのバンクに1本ずつあり合計で3本のベルトでタイミングをとっています。

前側タイミングベルト

正常な状態のエンジンをメンテナンスのためにタイミングベルト交換する場合は、基本的に元の通りに組めばよいのですが、今回の様に不具合が起きているエンジンの場合タイミングが正確に合わせられているのか確認が必要になりますのでSSTが必須になります。

SST:スペシャル サービス ツールの略で日本語に訳すと特殊工具になります。今回の場合タイミングベルト交換のための特殊工具となります。

このエンジンにはこれだけのSSTが必要になります。

このSSTで各部を固定して位置の確認をしながら交換を進めるのですが、その中で右バンク(車両後方バンク)のカムシャフトのタイミングが一コマずれているのを発見しました。

カムスプロケットの切り欠き同士が真っすぐ向かい合わせにならなければいけません。

取り外した姿がこちら、わかりやすく黄色いペイントでマーキングしています。

これではタイミングが1コマずれているので、エンジン不調を起こし振動の原因になったのは間違いありません。

正常な組み付けはこちら

 

ウォーターポンプも交換してタイミングベルトを正確に合わせながら組み上げていきます。

SSTでしっかり位置を固定してから組み付けることでミスなく組むことが出来ます。

組み上げ後は当たり前なのですがV6エンジンの落ち着いた回転に戻り故障コードの検出もなくなりました。

 

問題点が2点ありましたがそれぞれ解消したわけです。

①冷却水漏れ  → ウォーターポンプ 新品の製品不良

②エンジン振動 → 組み付け不良によるバルブタイミングずれ

車両不具合の問題点をすべて解消してお客様に満足していだだけることが出来ました。

 

しかし、今回の事例での本当の問題点は整備を行った側の対応です。

①のウォーターポンプの初期不良での冷却水漏れは、新品部品の不良で半年しか経っていませんので部品の仕入れ先にクレームで交換なりの対応が出来たはずです。
少なくとも当店では期間内でしたらそのように対応しています。

次に②のタイミングずれはエンジン振動を感じて何かおかしいと気が付かなければいけないレベルであったことと、診断機でも故障コードを検出している以上、このくらいは正常とは言ってはいけません。

少なくともタイミングベルト交換前と後で、車両の状態が絶対に変わっていたはずなので気が付かない整備士のレベルは問題です。

※アルファロメオなどの様にカムとプーリーの関係が元々ずれるような構造であれば交換前後で変化が見られることもありますが(良い方に)、カムとプーリー位置が固定されるエンジンではそこまでの変化が有ったら何か問題があると考えます。

 

このように整備士のスキルが低かったりミスを起こしてしまうのは人間である以上致し方ない部分も有るのは事実です。

しかし、そのあとのお客様からの訴えに対して真摯に対応することは仕事を請け負った側の責任です。

 

今回、当店では他店にて行った整備には一切かかわりがありませんのでお客様への請求は一般的なものになってしまいますし、故障探求をしながらの作業はメンテナンスで行う作業とは違い非常に手間がかかりますので割高になってしまいました。

本来払う必要のなかったものをお客様は支払い、半年以上何かおかしいと悩んでいたという損失は非常に大きなものです。
そもそも、永く良い状態で乗り続けたいがために行ったタイミングベルト交換でしたのでなおさらです。

他店で起こしたこととはいえ、考えさせられる一件でした。

 

 

 

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