メルセデスベンツC180(W204)のご入庫
ご用命は、エンジンを掛けるときに回るエアポンプの音が異常に大きかったが、最近では全く音がしなくなったとの事。
このエアポンプとは2次エアポンプのことでエンジン始動時の排気ガス浄化を目的として触媒にエアを送り込む役割をします。
作動するのは始動時の空燃比の濃い状態時のみ作動しますので、ポンプはすぐに止まってしまいます。
今までエアポンプの異音が気になっていたが、最近では全く音がしないということですので壊れてポンプが回らなくなったことが想定できます。
診断機で故障コードをチェックするとやはり2次エアの流量不足を検出しています。
診断機を使いポンプを強制的に作動させてみようとしましたがやはり回りません。
強制駆動を行っている時にポンプに電気が来ているか確認したところ電気が来ていませんので、ポンプ駆動の電気回路に問題がありそうです。
点検をしていくとヒューズボックス内のポンプ電源のヒューズが切れていました。
新しいヒューズに替えてポンプのコネクタを外して電気が来るか点検すると今度はちゃんと電気が来ていますのでこのヒューズが切れたことで電気回路が成立しなくなったのです。
次になぜヒューズが飛んだのか確認するためポンプのコネクタを繋ぎ強制駆動させるとヒューズが飛びました。
ポンプを電気回路に組み込んでから電気を流すとヒューズが飛ぶことからポンプ内部で短絡していると判断します。
次にポンプを取り外して、ポンプ単体に直接電気を掛けても回りませんのでポンプ内部の故障で間違いありません。
ポンプを分解してみるとやたら濡れていてサビも酷い状態です、モーター内部に水が浸入してショートしたようです。
では、この水はどこから来たのでしょう?ポンプに繋がるホースの中も濡れているのでたどっていくとそこにはコンビバルブがありました。
ホースを外すと中に水がいますのでこの水分がエアポンプに回って壊したのです。
コンビバルブは、2次空気を送るのに排気が逆流しないようにするバルブで2次空気が送られていない時は閉じていなければなりません。
しかし、排気系統に水が流れているわけはありません??
どうもこのエンジンによくある故障事例らしく完全燃焼した排気ガス中の水分が蒸発して先ほどのホースを伝わりポンプ内を水滴で錆びさせて故障させるという故障が多いとの事。
しかし、コンビバルブは閉じているはずでは?
なんとコンビバルブの密閉も悪くなるとの事・・・
バルブの密閉が悪くそこの隙間から蒸発した水分が逆流してエアポンプまで行ってしまうのです。
残念ながらこれは設計自体があまり良くないことで起こる故障です。
といっても決して安くはないエアポンプをまた壊してしまってはいけませんのでコンビバルブも交換することをお勧めしてすべて交換を行いました。
日本車ではあまり採用されていないシステムですが、欧州車ではこのシステムはメジャーで今回のような水滴の問題で故障するだけでなく単純に耐久性の問題で異音や振動を発生させることも多い部品です。
冷間始動時のわずかな時間大きな音がする車両はこのポンプが付いていますのであまりにも過剰な音などが出た場合は早めに点検を受けるようにしてください。