最近の自動車で深刻な故障(事故)としてタイヤのパンクによるトラブルでの対応が難しい例が非常に多くなったことです。
それは、近年販売されている車両にはスペアタイヤが搭載されていないものが多いからです。
このようなスペアタイヤの搭載されていない車両には、パンクの応急キットとして、簡易エアポンプとパンク修理剤がセットのなったものが搭載されています。
もしもパンクした際は、パンク穴をふさぐ液剤(修理剤)をタイヤに充填したうえでシガーソケットを電源としてエアポンプで空気を送り膨らませるというわけです。
ですが!これが役に立たないパンクが非常に多いのです!
このタイヤは鉄片を踏み急激にパンクを起こしました。
こんなに小さな鉄片(5㎜ほど)ですが、タイヤは10mmほど切れてしまいました。
しかし修理剤でパンク穴を塞ぐことが出来るのは、釘などの細いものが刺さった穴くらいで、これくらい大きく裂けた穴は塞ぐことが出来ません。
また、パンクに気が付かず走らせてしまいホイールとタイヤが外れてしまったような場合でも隙間が大きいので空気を入れることは出来ません。
この応急キットで対応できるパンク不具合が限定されたものになってしまうのは、あまりにも知られていません。
ではスペアタイヤを搭載していない車両が修復できないようなパンクを起こした場合はどうしたらよいのでしょう?
残念ながら履き替えるものがない限りレッカーなどの積載搬送となってしまいます。
スペアタイヤを搭載していれば、パンクしてどうにもならなくても履き替えて脱出出来ていたですが、付け替えるスペアタイヤがない以上車両は走行不可能なのです。
無理をして走行するとこんな目にあいます 事例リンク
新車を購入する際にオプションでスペアタイヤを購入することが選択出来る車両もあるようですがほとんど積んでいるのを見たことがありませんし、オーナー自身も積んであるのかないのかを知らないことも多いのです。
購入時にセールスマンから説明も無かったという話も聞いたことがあります。
なぜこのようなことになってきているかと言いますと、メーカーは様々な言い訳?をしています。
スペアタイヤは応急であり自動車の生涯で使わずじまいで終わることが多いわりに環境の負荷が大きい(タイヤの製造や処分等)とか、重さが燃費に影響するとか、スペアタイヤのスペースが車内空間の無駄になるとか様々なことを理由に省いてしまいました。(当然コストの問題もあるでしょう。これが一番かも・・・)
しかし、環境負荷だの燃費や車内空間がどうのといったところで、緊急時にその場から脱出できない恐怖は 経験した人にしかわかりません。
パンクに対する対策は今までにも様々練られてきました。
スペアタイヤ(ノーマルタイヤ):履かせているタイヤと同じものを搭載。 昔はこれが当たり前でしたし今でも荷物を載せ耐荷重を求められる商用車ではこの方法です。同じタイヤなので荷重やスピードレンジは同等条件で使えるが重さや大きさがかさばるのがデメリットになります。
スペアタイヤ(テンポラリータイヤ):ノーマルのタイヤでは太くてスペースをとるため応急用の細いタイヤを搭載します。応急用なので速度に上限があるのと積載物を搭載する貨物車では耐荷重に問題があり使えません。
スペアタイヤ(テンポラリータイヤ エアレス):テンポラリータイヤだが空気を抜いてたたんでしまってあるタイプ。使用するときはエアポンプで空気を充填して使用する。タイヤ幅の広いスポーティな車両に使われること多い。
タイヤとエアポンプを搭載するので当然コストがかさむため限られた車種に限定されます。
ランフラットタイヤ :履かせているタイヤ自体をパンクしても応急的に走行できるよう高剛性にしたもの。空気が抜けてもペちゃんこにならないため最低限の走行ができる。
デメリットはタイヤが非常に高額になることと高剛性であるがゆえタイヤ重量がかさんだりタイヤのしなやかさが少なくごつごつした感じになる。
また、搭乗者がパンクに気が付かないことがあるためパンク警告の警報システムも車両に搭載義務があります。
外観は普通のタイヤと変わらないためランフラットタイヤとわかるようにRFTとサイドに記載される。
パンク修理キットのみ搭載 :スペアタイヤは無く、修理キットとポンプのみ。
修理剤に有効期限が有るので定期的な買い替えが必要です。
お客様の中にはスペアタイヤが搭載されていない車両にスペアタイヤを別に購入して搭載されたりする方もいられますが賢明な判断だと思います。
もしスペアタイヤを搭載できないようであれば、緊急時の対策でロードサービスの確保やその際の代車特約など備えを十分しておくことは非常に重要なことになりますのでご注意を。
もちろんスペアタイヤを搭載していても定期的に空気圧のチェックを行い、いざという時に役に立たないなんてことも防がなければいけません。
御自身の安全確保もユーザーの責任です。