メルセデスベンツ スプリンター(W903)キャンパー仕様のご入庫
このクラスは欧州ではメジャーな商用車で、日本国内ではキャンパー仕様にして乗られている方が多い車種です。
日本ではかなり大きな車両で積載車と比べるとその大きさがお分かりになると思います。
メインのご用命はトランスミッションの変速不具合を訴えてこられました。
・減速時ギアが勝手にニュートラルになる。
・気温の低い時に多く起きる気がする。
・ポンプ作動時間が長い気がする。
上記の症状を訴えてこられたのですが、何か聞き覚えのある症状ではないですか?
そうです!これはFIAT500でよく案内しているデュアロジックユニットの不具合症状に似ています。
FIAT500デュアロジック リンク
この車両も、シングルクラッチのメカトロ制御ミッションでメルセデスベンツ名称では”スプリントシフト”と呼ぶそうです。
ミッションに関する故障コードの検出はありませんでしたので、ポンプの作動時間の長さと減速時のギア抜けの症状から劣化による蓄圧性能低下が考えられるアキュムレーターと、蓄圧不足から頻繁に作動を繰り返して疲弊していることが考えられる電動油圧ポンプを交換することになりました。
電動油圧ポンプはマレリ製でデュアロジックとほぼ形状も一緒なので技術提携で採用されたものなのかもしれません。
交換後は明らかにポンプの作動時間も短くなり減速時のシフトダウンもスムーズに行うようになりました。
お客様も今までギアが抜ける恐怖におののきながら乗られていたそうですが今はとても乗りやすくなったとおっしゃっていました。
今まで整備に出してもなかなか良い調子になって戻ってきたことはなかったそうでお店探しに苦労していたとの事。
日本国内に正規で輸入されていない車両はたくさんあるのですが、我々整備士でも当然そのような車両に携わる機会は滅多にありません。
携わったことのない車両はまずは構造など仕組みから考え調べたりしなければならず、修理にも時間が掛かるものです。
この時間が掛かるということは経営的観点からみるとデメリットとなるため断るお店も多いのですが、整備士として知識や経験を重ねるという意味ではメリットでもあるし非常に大切なことです。
お客様の協力を得られることで経験の積み重ねが出来て、次の修理への糸口となります。
※現在、工場のスペースの都合上 新規でのキャンピングカーの受け入れは行っておりません。