ニッサン AD(Y11)のご入庫
”エンジンがブルブルして進まない”とのこと
かなりエンジンが振れているので1気筒作動していないのがすぐにわかりました。
パワーバランスを確認してみると2番シリンダーが作動していませんでした。
ダイレクトイグニッションタイプで、スパークプラグかイグニッションコイルの故障がほとんどです。
応急的に中古のイグニッションコイルでお帰り頂き後日、交換することになりました。
数日経ち再入庫してイグニッションコイルを新品に交換して修理完了です。
と言いたいところでしたがここから一筋縄に行かない状況が始まりました。
テスト走行を行い不具合が解消されていることを確認しているとまたもやあの症状が再発してしまったのです。
パワーバランスを確認するとまたもや2番シリンダーが作動していません!
新品に交換したイグニッションコイルの初期不良かと思い他のシリンダーのコイルと入れ替えてみると新品のコイルは正常に作動しますのでコイルの問題ではありません。
2番シリンダーのイグニッションコイルが火花を出しませんので電気系統の故障診断を始めます。
配線は図のようになっていて電源(+)・アース(-)・信号の3本の配線がイグニッションコイルには入っています。
電源とアースは測定して問題ありません。
残るは信号です。
この信号は、点火信号(パワトラ駆動信号)と呼ばれ、イグニッションコイルに内蔵されたパワートランジスターをON/OFFさせる信号です。
測定するとこの信号が来ていないことがわかりました。
配線に不具合がありませんのでエンジンコンピューターから信号が出ていないということになります。
エンジンコンピューターを交換することになりました。
エンジンコンピューターを交換して不具合は解消しました。
この不具合はもともとコンピューターが悪くてコイルが壊れたのか、はたまたイグニッションコイルが悪くてコンピュータを壊したのか、どこがきっかけになって起きたかはわかりません。
点火系統一式壊れてしまうような不具合はなかなかない珍しい事例かと思います。