ホンダ バモス(HM1)のご入庫
ご用命は車検整備です。
車検整備で御入庫の際は、お客様から調子が悪いところや気になる部分をあらかじめ問診するのですが、こちらのお客様特に気になる部分はなく調子よく乗っているとの事でした。
しかし、整備を始める前に、受け入れ検査を行うと気になる部分が見つかりました。
それがこちら
右と左の前側タイヤですが、ホイールのブレーキダストの汚れ具合に差があることがわかりますか?
車両を持ち上げタイヤを手で回してみると案の定、左前輪の回転が重くブレーキがかすかにかかった状態(引きずり)を起こしています。
ブレーキが常にかかった状態の左前ブレーキの粉が大量に発生した結果です。
何回かご紹介していますが、ディスクブレーキの場合キャリパーのピストンでパッドを挟むのですが、そのピストンの動きが悪くなることでこのような症状を起こします。
キャリパーオーバーホールが必要ですので分解してみますと、やはり錆でピストンが固着してしまっていました。
さらに錆でピストン表面が侵食され凸凹になってしまっているため、このピストンは交換になりました。
錆などの汚れを綺麗に落として、新しいピストンとシールキットを組みなおして不具合は解消しました。
このような不具合は、何度も紹介していますがわずかな引きずりは運転していても気が付くことはありません。
また、車検の検査ではテスターでブレーキの制動力測定をするのですが、そのテスターでもこの程度の引きずりはわかりませんので見落としてしまう可能性がある密かに危険な不具合です。
ブレーキフルード(オイル)は吸湿性があり水分を取り込んでしまいますので、今回のように内部部品を錆びさせます。
ブレーキフルードは車検毎に交換するのですが、ブレーキシステムのオーバーホール自体は省かれる事が多くなりました。
昔の車検整備では、ブレーキシステムのオーバーホールは車検毎の行うことが多かったのですが、ユーザー車検の解禁や車検価格の競争の激化に伴い省くようになってしまいました。
しかし、このような部品は特に昔も今も大きな違いはなく、いずれはこのようなトラブルを起こします。
走行しても気が付かない故障だからこそ、不具合が発生する前に予防的なメンテナンスを行う重要性があります。
ブレーキキャリパーに関しては、ドラムブレーキに使用されているホイールシリンダーより比較的トラブルが少ないので車検毎のオーバーホールは必要ありませんが、年数が経ったり(10年以上)距離が伸びたお車に関しては一度メンテナンスすることをお勧めします。
今回のトラブル車両は、平成15年式走行距離12万kmでした。